原崎勇次氏の医者いらずシリーズについて
自然呼吸は次の四つに分けられる
①吐く息は力を入れてゆっくり長く吐く
②吸う息は吐いた息の反動で短く吸う
③吸った息はしばらく止める
これは空気が肺の中で十分に拡散する必要があるからである
④そしてまた吐く息に力を入れてゆっくり長く吐く
・腰を掛けた場合
あごを引く
左右の方は水平にして力を抜く
背筋を伸ばし胸を張る
椅子の背もたれに寄りかからないこと
手のひらを上に向けて開く
腰は前に突き出す
腰掛は固い方がよい
・正座の場合
あごを引く
首と肩の力を抜く
背筋を伸ばし胸を張る
左右の方は水平にして力を抜く
手のひらを上に向けて開く
両足先を上下に重ねない
・寝ている場合
両手を斜め下に向け手のひらを上に向けて開く
両足は腰幅に開く
①まず、これまで述べたような正しい姿勢をしてから下腹を引っ込めながらできるだけゆっくりと力をこめて息を吐く。
下腹の皮が背骨にくっつくぐらいまで息を吐ききる。
②息を吐ききったら腹の力を抜いて反動で下腹をふくらませながら素早く息を吸う
この際に意識を下腹に集中する。
目は閉じているほうが意識を集中しやすい
③その息をちょっと止めて――
④下腹を引っ込めながらできるだけゆっくりと力をこめて息を吐く
このような腹式呼吸の練習時間ははじめは短時間でもよいが30分ぐらいは続けられるようにしたいものである。
息を吐く時間ははじめ20秒吐くのもたいへんだが、練習して馴れてくると吐く息が約1分間吸う息が約5秒以内になる。
このくらいになれば完全である。
前に述べた自然呼吸、つまり赤ちゃんの呼吸法でもある人間本来の呼吸法を完全呼吸法という。子の呼吸法は肺臓の各部分と呼吸作用に関連した全筋肉とを活動させる呼吸法である。
完全呼吸法を実行するにあたって重要なことは呼吸運動に関係した全筋肉が十分かつ完全に働けるようにすることである。
①前述のように正しい姿勢をとる。
②吐息
息を吐きだすというよりも吐息ごとに腹を引っ込め息を絞り出し押し出す気持でやる。
吐息の時には足と腹筋に力がはいっていること。
③息を八分目吐いてあと二分ぐらい残ったころに腹と足の力を少しゆるめて背を静かに伸ばしてゆく
そうすると息は自然に入ってくる
④吸気
(イ)まず下肺に吸い込む。この時には横隔膜を下げ気味にする。つまり腹部が前に出る
(ロ)次にちょっと肋骨を開いて肺の中ほどに息を吸い込む。この場合には胸を突き出す気持ちでやる
(ハ)さらに肺の上部を突き出して息を吸い込む
吸息の(イ)~(二)は実際には連続して行う。
その要領は横隔膜から鎖骨に至るまでの胸腔(きょうくう)を吸息しながら静かに順次広げていく
以上の②~④を繰り返す。
この完全呼吸法は後に述べる調息集中法と感情コントロールの呼吸の基本であるから十分に体得する必要がある。
「調息集中法」とは原崎勇次氏が提唱する独特の呼吸法である。
この呼吸法を続けていると抑制力が高まり脳の働きが安定するので神経の興奮・緊張の結果生ずるノイローゼ、心悸亢進、胃酸過多症、胃潰瘍、糖尿病、慢性胃腸病などが、すべて治ってしまう。
①まず前に述べた正しい姿勢をとる。できれば結跏趺坐。
②吐息は下腹を引っ込めながらゆっくりと力を入れて息を十分に長く吐く。
下腹が背骨にくっつくぐらいまで腹の中のものを絞り出す感じで行う。
③吸気は吐息の反動で腹を出して息を吸うが同時に胸郭を広げて素早く胸いっぱいに息を吸う。
④少し息を止めてから――
⑤また息を②と同じにゆっくりと長く吐く。
⑥なるべく静かなところで行い他の事に意識を奪われないようにする。
目はどこか正面の一点を見つめるか目を閉じて鼻先か両目の間を見つめ何も考えないようにする。
これを毎日30分~1時間行うとその効果は見る見るうちに出てくる
この呼吸は副交感神経型であり、意識の集中そのものは交感神経を刺激することである。
したがって交感神経と副交感神経がともに刺激されバランスがとれ、自律神経の働きが活発になるわけである。
自律神経の働きが盛んになればその支配を受ける自然治癒力が旺盛になり治病に対して絶大な効果をもたらすことになる。
副交感神経
↑↑↑↑↑ 自律神経の働きが = 自然治癒力が
↓↓↓↓↓ 活発になる 旺盛になる
交感神経
またこの調息呼吸法を基本にすると次に示すように感情もコントロールできるようになる。
5.感情コントロールの呼吸法
消極さ 肩を下げ背中と腰に力を入れ胸を張る
ナマケ心 あごをグッと引き腰に力を入れて手を外側にねじる
優柔不断 腰と足に力を入れながら一気に呼吸をする
アガリ 下腹から腰、足に力を入れながら息を強く吐く
ショック 足の親指に力を入れアキレス腱を伸ばして息を吸う
興奮 膝と胸を思い切り開いてゆっくりと呼吸する
欲求不満 体を後ろに反らし今一番やりたいことを考える
動揺 胸を張って腰に力を入れ長い呼吸を繰り返す
怒り 上半身の力を抜いて体をねじる
不活発 あごを引き、背中を伸ばして胸を張る
不愉快 下腹に力を入れて静かに深い呼吸をする
不安 体を後ろに反らして呼吸をする
不快感 上半身を反らして深い呼吸をする
アセリ 胸を広げ力を抜いて体をゆすってみる
イライラ 肘をピンと張り体を左右にゆすってみる