原崎勇次 医者いらずシリーズ 「ガンコな慢性病も自力で治せる」

徳間書店のトクマブックスの「ガンコな慢性病も自力で治せる」の内容です。現在は廃刊なのでアマゾンなどで古本でしか売られていません。
(注:発刊された当時の内容です。)
1987年3月31日 初刷
1993年7月31日 7刷(私が持っている本でこれがその内容です)
ガンコな慢性病も自力で治せる
原崎勇次
 医者に「奇蹟!」と叫ばすほど早く慢性病を治すにはこれしかない ――原崎勇次
 〇――われわれの体は、多少病気になるような条件に出会っても自律神経によって自然治癒能力が働き、病気から回復する。
ところが、生活条件、つまり、呼吸、飲食、動作、心の持ち方などが正しい条件からはずれてくると、やがて毒が溜まって自然治癒能力にブレーキがかかり、病気になってしまう。
これが慢性病である。だから正しい生活に帰ることを無視しては本質的に治らない。逆に原因を取り除き、生活を正し、そのうえで病根を攻撃すれば、医者が「奇蹟だ!」というほど早く治ってしまう。
ガンコな慢性病も自力で治せる
はじめに
 わたしたちは日常生活や仕事に支障が出ない限り、病気には無関心である。ところが325の病院の人間ドック受診者の46万1000人の受診結果の分析結果では、肥満17.1パーセント、糖尿病14.6パーセント、肝機能異常11.5パーセント、高血圧10.8パーセント、高中性脂肪血8.2パーセント、高コレステロール血7.3パーセントもいる(日本経済新聞、昭和61年8月20日)。
 つまり約70%以上の人間が慢性病予備軍だったのだ。
 これに、すでに慢性病で医者にかかっている人を加えたら膨大な数の人が慢性病の危機にさらされているといえよう。
 人生の岐路に立つ人々に私は、健康回復の道を支持するのだが、それを無視して反対側の死に通じる道を選択して選択して歩んでいく慢性病の人が多いのが残念だ。さらに慢性病を苦にして自殺した、などという新聞記事を読むと、「治るのになあ!」と心が痛む。
 あらゆる病気は、われわれの体の内側の態勢がととのっていないために起こるものである。そのうちの急性病は細菌などのように避けられない環境によって大きな影響を受けるかも知れないが、慢性病はその影響はほとんどない。あるいは避けることができ、すべてわれわれの内側の態勢に起因している。つまり、われわれのすべての日常生活が間違っていたために慢性病になる体質を作り上げてしまったのだ。
 われわれの体は、多少病気になるような条件に出会っても自律神経によって自然治癒力が働き、病気から快復するようになっている。ところが、生活条件、つまり呼吸、飲食、動作、心の持ち方などが正しい条件からはずれてくると、やがて毒が溜まって自然治癒力にブレーキがかかり、病気になっても回復しなくなってしまう。これが慢性病である。治らないのは、ちょうど自動車のブレーキをいっぱいに踏んでいてアクセルをふかし、「車がちっとも動かない」といっているようなものだ。
 ガンのように悪性の場合には全身が毒のかたまりになってしまうから、毒抜きをしないかぎり治らない。
 そこで病体の①現状を把握し、②あらゆる原因を追究し、③対策を立てる、という近代的思考に帰って考え直すことが重要である。
 ところが西洋医学でも東洋医学でも、さらにあらゆる医療を含めて、みんな単純な方法しか考えないし、やらない。つまり薬、手術、放射線、けん引、針灸、整骨など、技法に頼りすぎて、基本原理を無視している。
 慢性病は正しい生活に帰ることを無視しては本質的に治らない。逆に原因を取り除き、生活を正し、そのうえで病根を攻撃すれば、医者が「奇蹟だ!」というほど早く治ってしまう。それは自然治癒力が最高に発揮されるからだ。
 ところが、みんな自分の生活が間違っていないと思い込んでいる。何が正しい生活かを全然知らないのだ。そして自然治癒力とは、何もしないで寝ていれば自然に治ることぐらいにしか考えていない。また毒が溜まっていることも、まして毒抜きの方法も知らない。これでは治るわけがない。
 現代治療医学はかつての伝染病のような細菌病、心筋梗塞のような瀕死の重病人の蘇生、あるいは大ケガなどには偉大な功績をあげてきた。しかし慢性病については歴史的にはまだ駆け出しの状態なので、まるで素人同然で治せない。それは近代医学のフィロソフィからものすごく後れをとっているからであり、単純なワン・パターンの対症療法だからである。
 ここに近代科学のフィロソフィに基づき、先端技術と同じようにあらゆる学問の総合的システムズ・アプローチによる手段をとることによって、現代治療医学の最大の弱点(ウィーク・ポイント)、慢性病を短期間に克服する道が開ける。あらゆる後天的慢性病は治るのが当たり前で、治らないほうが不思議なのだ。
 私の前著”医者いらずシリーズ”として『医者いらず自強法』『医者いらず食事法』『医者いらず体操法」『医者いらず呼吸法』(四著書すべて徳間書店「トクマブックス」)を出版してきた。幸いなことに多くの読者から「本当のことが書いてある」とお褒めのお手紙をいただいている。
 第一の書は総論であり、間違った常識からの脱却のための書であり、他の書は各論として具体的方法を述べた。これらを横断的記述とすれば、本書は縦断的である。横断的では、方法の詳細はわからるがさて自分の病気をどうして治したらよいかがわからない人が多い。
 各慢性病にはそれぞれ特有な精神状態、食生活、力学的ひずみなどがあって、そのパターンによって病名が異なるので、本書ではそれらを各病気について詳細に解説し、治病へのハウ・ツウを書いた。
 本書によって慢性病に苦しむ多くの人々が前途に光明を見出し、生きる希望に輝き、そして一日も早く世の中のために、再び思う存分の活躍ができることをこころから祈っている。
 終わりに、懇切なご指導を賜った命の恩人、故沖正弘先生ならびに引用の都度お断りできなかった参考文献の著者のかたがたに厚くお礼を申し上げる次第である。
  昭和62年1月
                                                   原崎勇次 
第1章 従来の医療では慢性病は完治しない
  現代医学で慢性病は治せるか⁉
「腹が痛い」「カゼを引いた」となると、「それ、医者に行け!」である。いまは健康保険が完備しているから、医者にかからないと損だ、と思っている人すらある。北欧で医者がストライキをやったら、とたんに病人が減ったという事実さえある。
 最近は少し体の具合が悪いと、医者にいけば治ると思っている人が多い。だからましてガンや心臓病とでも診断されたら、医者以外に頼るものはないと思うのも無理はない。
 医者はガンも早期発見、早期治療で治るといっているが、制ガン剤やコバルト照射や手術でガンが完全に治ったという人を私は知らない。医者に行く大部分の患者は腹痛かカゼだから、いかにも医者に行けば病気が治ると思うかもしれないが、患者の大部分が成人病や慢性病ばかだったら、いまの医者に対する信頼感は180度変わるかもしれない。
 我が国は世界一の長寿国となり、若い世代の体格が戦前とは比べられないくらい良くなった。この二つの事実を現代医学と栄養の改善と思っている人が多い。
 ところが、考古学者、樋口清之氏によれば、平均寿命が長くなったのは遺伝子周期によるもので、今少しの間は上昇期にあるからだという。今は温暖期で、温暖期は背が伸び、寒冷期は背が低くなる。それで背が高いと長寿、背が低いと短命なのだという。(『日経ビジネス』、1980年12月29日号)。
 また他方において、かつてはガン、糖尿病、心臓病、高血圧などの成人病は文字通り年輩者の病気であったが、最近は子供にもみられるようになってきた。
 かつては虫歯は子供の約10パーセントにすぎなかったが、今では子供の94パーセント以上が虫歯である。
 かつては高い木の上か屋根から落ちなければ骨折しなかったが、いまでは運動場で転んだだけでも骨折する子供すらいる。
 全国高校総体の開会式で、鍛えられているはずの選手がバタバタと倒れるなど、戦前では考えられなかったことが起きている。
「今の20歳前の子供は40歳まで生き残るのは大変だ」と憂慮する心ある未来学者もいる。つまり、いまは平均寿命が延びたと喜んでいるがこれからの世代は短寿命化するというのだ。
 こう考えてくると、医学は果たして進歩しているのか退歩しているのか真剣に考えてみる必要があるのではなかろうか。そして、医療はどこまで頼りになるのか、その限界をはっきり把握しておく必要があろう。
原崎式健康要語録」慢性病とは、間違った生活条件で自然治癒力にブレーキをかけている状態だ。
  伝染病や診断技術においては現代医学の功績は大きいが
 戦前は、肺結核や肋膜炎のような肺病は死の病であった。伝染しただに今のガン以上に恐怖の病であった。ところが最近では、薬物療法で簡単に治るようになり、カゼ程度にしか考えられなくなった。
 天然痘も死亡率が高い恐ろしい病だった。ポリオ(小児麻痺)は高熱が引いても麻痺を残し、それは一生治す方法がなく身体障がい者になった。ところが今や天然痘とポリオは地球上から姿を消したという。
 また腸チフス赤痢も死に通ずる伝染病で伝染病院に隔離された。私の兄姉は10人中4人これらの病気で死に、ときには二人一緒に葬式をしたという。しかし戦後は抗生物質によってこれらの病気は腹痛程度にしか扱われなくなった。
 このように西洋医学は歴史的には細菌病との戦いであり、いまや西洋医学は細菌病を克服するという偉大な功績を挙げてきた。
 他方、細菌病以外では、心筋梗塞脳梗塞、あるいは狭心症で息も絶え絶えのまさに死なんとしている瀕死の重病人を救うことに現代医学は大きな貢献をしている。
 また交通事故や災害による複雑骨折や裂傷、多量出血などの瀕死の重傷患者を生き返らせることができるようになったのも治療医学の偉大な功績である。
 もう一つは診断技術である。胃カメラやX線で胃の中の潰瘍やガンを見つけたり、超音波やX線CT、MRICTで脳や内臓の中の状態を知ることができるようになった。また化学薬品との反応性から蛋白の異常や血液の状態を知ることができるようになった。
 このような診断技術の進歩は、医学というよりも物理と化学、あるいは工学の進歩といった方が正確かも知れない。
 現代西洋治療医学の功績をまとめると、①細菌病の撲滅、②瀕死の重病人の蘇生、③物理・科学の応用としての診断技術の進歩、であった。
【玄米食】玄米は白米よりビタミン群が多いので、神経を非常に鎮静させる。また炭水化物を体内で燃焼させるのに、ビタミンB群が必要で、これが不足すると疲労の大きな原因になる。繊維が多いので便秘に役立つ。いま世界中で玄米はスタミナ食で、少量で足りるから頭の良くなる食品、さらに胃炎、肌荒れ、ニキビ、高血圧、糖尿病、ガンの薬として評価されている。
  薬毒不二を生んだ現代治療医学
 現代西洋治療医学の欠陥をあげると、①薬・手術の弊害、②細菌病以外の慢性病、ひずみ病が治せない、③予防(特に慢性病)や健康増進については素人同然で無力、である。
 まず薬害だが、ストレプトマイシン結核菌は殺されるが、ストマイによる難聴になる危険性がある。ペニシリンなどの抗生物質チフス菌や赤痢菌は死ぬが、小便垂れ流しや失明をもたらすベーチェット病になる危険性がある。
 抗ガン剤は副作用が強く、肺ガンで死んだある外科医は、死の直前に友人に、「体がくたくたに参ってしまい、ものすごく気分が悪いので、しの恐怖よりもむしろ生きている方がずっとみじめだ」と語り、抗ガン剤治療を受けたことを後悔していたという。放射線も同様で照射を受けたあとぐったりと弱ってしまう。
 糖尿病患者の血糖を下げる塩酸フェンフォルミンは死亡することもあるので使用禁止になった。
 血圧降下剤のレセルピンはうつ病、心臓のリズムの乱れ、狭心症緑内障、インポテンツ等の副作用のあることが知られ、他の血圧降下剤も関節炎、肝臓病、糖尿病、心機能低下、認知症などの副作用がある。アメリカでは今後5年間に1500万人が降圧剤を飲み、そのうち10万人が薬害で死ぬだろうという。
 国立がんセンター、平山雄疫学部長らの調査結果では、奇形などの先天異常の発生率は20年前の約12倍で、その原因としては医薬品、農薬、食品添加物の影響が大きい。また先天異常のうちでとくに多いのは呼吸器や性器・尿器の異常や無脳症などで、放射線と化学物質による影響だという。まさに薬毒不二である。
原崎式健康要語録」あらゆる病気は力学的ひずみを伴っている。だから、手術さえしていなければ、どんな病気でも健康体に戻すことができる。
  人間は手術しなくても病気は治る
 手術にもまた弊害が多い。胃潰瘍で手術した人は、あまり食べられなくなったり、食品の種類も制限されることもある。
 椎間板ヘルニアを手術したら、ついでに肩がはずれるのがくせになってしまったという人もある。
 年輩の人で片方の肩が極端に下がっている人があるが、これは肺結核で肋骨を切られる手術をしたからだ。そうすると、食欲は異常に旺盛になるか、なくなるかのどちらかになる。
 瀕死の重病人でない限り、人間は手術しなくても病気が治るようにできている。野生の動物は薬も手術も不要で、みな自分の病気を自らの力で治しているではないか。
 私は、内臓の潰瘍、結石、ヘルニア、足痛などで即刻入院手術を宣告された多くの患者を薬も手術もせずに治す指導をしてきた。すべて成功した。
 私は病人に対して手術を受けたことがあるかどうかを必ず聞くことにしている。それはあらゆる病気は体の力学的ひずみを伴っているからで、一度でも手術を受けると、ゆがんだまま着物を縫いつけてしまうようなもので、もとの体には決して戻らないからである。手術さえしていなければ、どんな病気でも完全な健康体に戻すことができる。
 患者もインスタントに治りたいという欲望があるからいけない。手術をして症状が消え、あたかも病気が治ったかに見えても、そのうちに姿を変えて他の病気として現れてくるものだ。病名が違えば別の原因と思うだろうが一つの原因でいろいろな病気になりうるのだ。
 ——私にいわせれば、慢性病で手術をするほどバカバカしいことはない。
 医学部でも薬、手術、放射線、けん引などで治す方法しか教えないし、またこれらの方法でないと金がもうからないような医療システムになっていることにも問題がある。
原崎式健康要語録」 手術や放射線は壊すことだから、後天的病気は手術や放射線”治療”さえやらなければ治る可能性がある。
  病気の原因は日常生活の中にある
 医学の歴史は細菌病との戦いであったから、細菌によらない慢性病の研究は、始まったばかりといってよかろう。慢性病はあらゆる生活条件の総合結果で、間違った生活条件が自然治癒力にブレーキをかけている状態だから、生活の改善をすることなく薬やメスの力で治そうとすることは、”木によって魚を求める”のたぐいだ。泥水を入れながら洗濯するようなものだ。あるいは自動車のブレーキを踏みながらアクセルをふかし、ちっとも車が動かないと嘆いているようなものだ。こういう簡単な理屈がわからないところに現代治療医学の低能ぶりがある。
 また痛みやシビレは”ひずみ病”だ。自動車をぶっつけてへこんだら、板金屋に行ってへこんだところを元に戻してもらう。薬屋に行ったり、へこんだところを切り取るバカはいないだろう。
 現代治療医学とは、”木を見て森を見ない” 強度の近視である。
 東洋医学は、人間を全体として見るというフィロソフィで慢性病の治療には西洋医学よりも効果があるが、ガンのような西洋医学での難病は東洋医学でも難病で、それは慢性病の原因がすべてわれわれの日常生活のうちにあるからである。また日本のトップクラスの漢方医でも証(しょう)と処方の合わないミスが結構ある。
 その他の医療も民間療法を含めて経験的・現象論的であるので、ある程度の効果はあるが、原因→対策という科学性に欠け、方法が単純思考的にすぎるのである。
 QCでは”なぜなぜを5回繰り返せ”というが、遺伝、体質、手遅れ、不治の病とはどういうことだろうか。遺伝と考えられている病気の大部分は、親と同じ飲食をし、好み、同じものの考え方、呼吸をしているために親と同じ体質になり、同じ病気をするわけだ。体質は同じ生活の繰り返しの結果である。生活さえ変えれば体質は変えられるのである。
 手遅れとは医者の言い逃れで、医療術の無能さを証明しているようなものだ。生きている以上、後天的病気は手術や放射線あるいは劇薬治療さえやらなければ、治る可能性がある。手術や放射線とは治すことでなく、壊すことだから……。
スピルリナ】 これは私が健康増進のため普段から常用を勧めたい健康食品である。私は製品としてはスピルナC(東京都中央区日本橋2-5協同ビル 東洋ラッシャン製薬)を使っている。これには次の栄養素が含まれている。①葉緑素、カロチン、フィコシニアン②良質の蛋白が豊富で必須アミノ酸のバランスが良い③豊富なミネラル④ビタミン(A、B、C,Eなど)⑤消化吸収が良い。
原崎式健康要語録」 症状とは”病気ですよ!”という警告であり、病気回復への努力の薬であり、よいものである。だから食欲がないことは”食うな!”という警告である。
第2章 慢性病は自力で治すしかない
  私の健康法も「基礎に帰れ」がモットーだ
 西洋医学東洋医学をはじめあらゆる医療の行き詰まりを打開して、治病の最良の方法を見出すためには、近代科学技術の根本思想に立ち帰って考え直さねばならない。
 光ファイバーをはじめ数々の世界的発明をし、独創的発想法で有名な東北大学西澤潤一教授は『十年先を読む発想法(講談社)』の中で次のように言っている。
 行き詰まったら、その都度、基礎に立ち戻り、理屈を考え、調べていくことこそ大切であり、飛躍の源となるものなのである」と、また「難しいことを知っていて物事がうまくいったということはあまりない。むしろごく基礎的なことから出てくることが多い。単純な基本でいい、そこに大きな穴、独創の泉がある」とーー。
 ノーベル化学賞を受けた福井謙一博士も独創を生む条件は、天才的な能力よりも幅広い基礎学問と集中力、執念だと言っている。
 たいていの発明発見というのは、たまたま偶然に変な現象が起きて、後でそれを理論づけするというのが大部分である。
 ブリッジマンの『現代物理学の論理』の中でも、「学問というものは、自然現象をただし認識し、その中から法則性を発見していくものである」と言っている。
 したがって、東洋医学でも民間療法でも病気が治る事実があったら、謙虚にその原理を研究するのが医学なのである。
 西洋医学以外でガンが治ると、医者は「そんなバカな! 何かの間違いだったのだろう」と片付けてしまうが、これこそ非科学的もはなはだしい。色々なガンの治る事実の中から法則性を発見していけば、さらに良い治し方を見出せるかも知れない。それが医学の研究者の態度である。
 薬、手術、放射線のワン・パターンの単純思考の医者に難病の慢性病が治せるわけがなかろう。そして新しい治療法が出てくる素地などまったくないのだ。
 また臨床医は基礎医学をバカにしている。「基礎医学なんて役に立たないし、基礎ではもうからない」とーー。
 しかし、私は逆に、臨床医学はフィロソフィが間違っていてあまり役に立たないけれど、基礎医学は間違っておらず、非常に役立つと思う。私の健康法もすべて基礎医学に基づくもので、とくに生理学、病理学、解剖学という基礎医学にもどって考え直すべき時に来ている。
原崎式健康要語録」 治病法で一番大切なのは毒抜きである。それで一番有効なのは、断食または半断食である。
原崎式健康要語録」 体質とは、同じ生活の繰り返しの結果である。生活さえ変えれば体質は変えられる。
  医学や栄養の常識はデタラメ⁉
 みんな専門家が一番優れていると思っている。しかし古来、新しい発見・発明は意外に専門家以外の人から出ている。パスツールしかり、近くは遺伝子DNAの発見者(注:メンデルのことですね)しかりである。
 専門バカといわれるように、専門家は自分の狭い専門領域のことしか知らない。だから、その領域からはみ出したことは何も知らない。したがって新しい発想は出てこないわけだ。
 また「医学や栄養の一般常識の逆をやれば健康になれる」といわれるほど医学常識・栄養常識はデタラメなのである。みんな自分でやったこともないのに、何かの本や記事に書いてあることを丸写しにして、それを頭から信用している。
 出版社のなかには、専門のライターがいて、著者が一行も書かなくて出版されている書籍がかなりある。私のところにも、「金をたくさん出すから本の著者として名前を貸してくれ」という誘惑も来るが、私は「何億円つまれてもいやだ」とお断りしている。
 医学や栄養、健康法の研究家とは、他人のいのちに関係するのだから、自分のいのちをかけて自らの体で実験、体験したことを書いたり、評価すべきだ。他人の借り物だったら、それを明記すべきで、この世の中にはホンモノは、1パーセント以下しかないといってよかろう。
 したがって「まず常識を捨てよ」と私はいいたい。常識にとらわれていたら、真の健康は得られまい。
「呼吸法を毎日朝夜30分ずつやりなさい」というと、「時間がありません」と答える。それでいて、6時間も寝ている。
 また「玄米を主食にしなさい」というと「一人だけ玄米というわけにはいきません」と答える。男性でも家族が協力しないので、自分で玄米を炊いて食べている人もかなりいる。「体操しなさい」というと、「時間の余裕がありません」とか、「面倒なのでつい忘れてしまう」と答える。まるで他人事である。「宿便排出健康食品を飲みなさい」というと、「会社に行く途中で便が出たくなるからいやです」と答える。「知恵がないなあ! それではご随意にどうぞ」といいたくなる。
 これらはみな自分の従来の生活を固定して考え、そのうえで新しい変わったことに対して不可能だと抵抗しているのだ。自己の従来の生活を変えれば容易にできることばかりだ。
原崎式健康要語録」 骨を支えている筋肉は肝臓が支配しているから、肝臓が悪くなれば骨も骨盤もゆがみやすい。
  病気は自力で治す――まず覚悟を
 このように自己の習慣の延長線上でしかものごとが考えられない人は、「健康になる資格がない」のである。
 その根底には「寝ていてだれかに病気を治してもらいたい」という”乞食根性”しかないのである。
 自分の生活が間違っていて病気になったのだから、「自らの努力で病気を治そう」という気持ちになれない人は、病気と心中した方がよい。「治る資格がない」のだ。
 したがって、「自らの努力で病気を治すのだ」という発想の転換がもっとも必要である。みんな健康食品や健康機器に頼りたがるが、これらはあくまでも補助であって、主役ではない。補助を使わなくても治る可能性があるが、使った方がずっと早く治る。
 とくにこのごろでは文化(「文明」の誤り?)が発達して自然な生活ができないので、補助はますます必要になってきている。しかし”主客を転倒するな”ということは声を大にしていっておきたい。
ラドン】 ラドンは、ラジウムが崩壊する時に発生する気体で、液体性および固体性老廃物を体から排除する最良の方法がラドン療法である。このラドンを家庭でも毎日使えるようにしたのがラドン温泉器とラドン飲料水生成器(問い合わせ先 静岡市中田3-2-19 先友東海)。温泉器は風呂の中に5時間以上沈めておいてから入浴する。飲料水生成器は、石を沈めてから2時間以上経ってから飲む。
  病因を取り除くことが治病の第一歩
 西洋医学は病気は”悪いもの”として、やっつけるか、切って取り除くという。これは対症療法である。
 しかし超LSIやバイオテクノロジーをはじめ近代科学あるいは先端科学技術の考え方は、①現状を把握し、②原因を探求し、③対策を考える、というプロセスをもつようになってきている。
 この考えをつかえばある慢性病の治療法については、①その治った事実を詳細に調べ、②その共通原理を考え、③新しい治療法を考えだせるのである。
 またあらゆる学問を総動員して総合的に活用することである。
 こういう近代科学、先端技術のフィロソフィと比べると、いまの臨床医学のフィロソフィは30年以上も遅れている。それを信用する人も、”いわしの頭も信心”だ。
 症状とは”病気だよ!”という警告であり、病気回復への努力の姿であって、”よいもの”だ。
 たとえば、食欲がないことは”食うな!”という警告だ。胃が悪いのに痛くならなかったらやがて腹膜炎を起こして死ぬかも知れない。血圧が高いのは、血行が悪いのを何とか解消しようとして血圧を上げているわけで、それを降圧剤で血圧だけ下げても血行不良はそのままだからおかしくなるわけだ。
 症状の出る必要をなくすこと、つまり原因を取り除くことが治病法の第一のポイントである。
【ひずみの修正方法】 人間の体はもともと苦しいほう、痛いほうに動かすのは欲求に反しており、気持ちのよい方向に動かすことでひずみを修復するという考えにもとづいている。患者は運動がいやな痛みのある方向から対称的な逆な方向へ自力で動かして、5~6秒耐えてから、急速に瞬間的脱力させてやる。配列異常と緊張異常がとれ、同時に異常感覚も解消する。
  治病はあらゆる学問分野の総力戦だ
 またみんな症状がなくなり、診断でOKになると治ったと思っているが、病気になってまず不定愁訴があr、この段階では診断にひっかからない。さらに病気が進行して症状が出て、やがて診断にひっかかるわけで、逆に症状がなくなった段階ではまだ完全に治ったのではなく、心も晴々しく元気に満ち溢れ、かつスタミナがある状態になってはじめて治ったのである。
 世の中の基本的学問は、大学の教科課程からわかるように、理学部、文学部の学問である。医学は応用学で、基礎は生物学、物理学、化学、哲学、心理学であり、はじめの三つは自然科学、あとの二つは人文科学である。病気を科学的に取り扱うには、これらの科学を総動員しなければならない。
 病気の原因とその対策の基本を表にすると次のとおりである。
   原 因          学 問        対 策
(1)毒の蓄積         化学         気・液・固体の毒抜き
(2)自律神経のアンバランス  生物学        呼吸法     
(3)力学的ひずみ       物理学        修正体操
(4)運動不足         物理学        運動
(5)酸・塩基平衡       化学         飲食
(6)陰陽のバランス      哲学         飲食・運動
(7)心の持ち方        哲学・心理学     人生観・価値観
 近代科学、先端技術があらゆる学問分野の総力戦であるように、治病には以上のことを全部しっかりやらなければならない。
 これらについて少し説明しよう。
【ひずみの修正体操】 運動を分類すると①前後屈伸、②左右屈伸、③左右捻転、④足、膝、手、肘、肩の関節軸各関節を動かして、動きにくいところがあったら、どっちの方向に、どんな角度でやったら、一番調子が悪いかを調べる。わかったら、その逆の正反対の気持ちのよい運動をすればよい。ときどき3~5回やり、左右、上下どっちにも平均して動けるようにすればよい。
  慢性病の一大原因は毒の蓄積
 私たちは過食、悪食、運動不足、排泄不完全、ストレスその他の不自然な生活から、体内に大なり小なり毒を蓄積している。呼吸、汗、大便・小便で毒を外に出しきれなくなると、体内からあふれた毒素が頭から出てくればフケになり、眼から出れば目ヤニになり、鼻から出れば鼻汁になり皮膚から出ればシミ・アザ・ホクロ・ソバカス・ニキビ・イボ、湿疹・乾疹などの皮膚病となる。毒が肝臓に溜まれば肝硬変や脂肪肝になり、胸に溜まれば喘息になる。血管に溜まれば血管が硬化して血圧が高くなり、ついには破れて脳溢血になる。毒の種類によっては結石となり、毒が子宮でかたまると子宮筋腫になる、もっと悪性だとガンになる。
 このように慢性病の一大原因は毒の蓄積である。
 したがって治病法で一番大切なのがこの毒抜きだ。毒を一杯溜め込んでいて、いくら良い薬を飲み(化学)、放射線をかけ(化学)、手術(破壊学?)したからといって根本的に病気が治るわけがなく、形を変えて他の病気として現れてくるのだ。
 しかも前述の化学という一つの学問分野の一部分しか活用していないのだから、症状が消える程度のことがあっても、どだい対症療法だから、根本的には治らないわけだ。”毒”がそのうちに頭をもたげてくる。手術に至っては体をダメにしてしまうのだ。
 ”毒抜き”で一番効果的なのは、断食または半断食である。最近は、食べ物の量と種類は増えたが、質が極度に悪くなってきた。そのため血液の質も悪化し、貧血の人もふえている。こういう人々が以前のような完全断食をやると、体力をなくし、貧血になり、へたをすると死ぬ危険すらある。そこで誰にでもできる半断食という方法がでてきた。
 半断食というと半分食べているから効果も半分と思われがちだが、これは”血液濃縮浄化法”ともいうべき方法で、完全断食と同等またはそれ以上の効果が得られるという。
 次のところに相談されたい。
日本綜合医学会
東京都文京区本郷3-3-1お茶の水KSビル303号
 気体性の毒は呼吸によって排出し、液体性の毒は尿と汗によって排出するので、それぞれ呼吸法、腎臓の機能を旺盛にし、運動や風呂・サウナで発汗を盛んにすることによって毒抜きの目的が達せられる。固体性の毒には、古便、宿便のほか体内のコレステロール中性脂肪をはじめとする老廃物がある。したがって断食はいやだという人には、宿便排出健康食品”ヨーグルゲン”を飲み(『医者いらず呼吸法』149ページ)はげしい運動(たとえばマラソン)を長時間行うことだ。
 もちろん正しい食事で少食にしないと毒が追加されるからダメだ。運動のできない病人はデミガー療器(同前書96ページ)をかける。陽性の人は吸圧もよい(同93ページ)。あるいはラドン(同153ページ千友東海、静岡市中田3-2-19)もよい。
【調息集中法】 一点に意識を集中して下腹を引っ込めながら、できるだけゆっくり息を吐き、その反動で短く息を胸一杯に吸う。
  自律神経のアンバランスが万病の原因(もと)
 基礎医学の生理学が教えるように、自律神経には交感神経と副交感神経(迷走神経)とがあって、これが馬の日本のたづなのように働く。
 つまり交感神経が優先的になってくると、一般に消化器系の働きは衰え、他の器官の働きは旺盛になる。たとえば心臓の動悸や血圧は高くなる。反対に副交感神経が優先になると、消化器系の働きは盛んになり、他の器官の働きは沈静する。
 あらゆる病気は自律神経のアンバランスが原因だが、これを調節できるのが呼吸で、吐く息は副交感神経を、吸う息は交感神経を優先的にする。
 したがって呼吸法による調息集中法で自律神経のアンバランスを正すのがベストである。
  万病の原因(もと)“力学的ひずみ”は自力修正体操でしか治せない
 力学的ひずみは、学問的には基礎医学の解剖学ならびに物理学あるいはレオロジーという学問(物体の変形と流動を取り扱う学問)の学際(境界領域)である。
 体が力学的にひずんでいると、血管や神経、内臓を圧迫したり、筋肉にこりや弛緩をもたらし、その結果、血行不良やうっ血を起こして内臓の働きが低下し、あるいは痛みやシビレを生ずる。
 一般にあらゆる”痛み”は筋肉の収縮により、”シビレ”は筋肉の弛緩による。
 注射や薬は筋肉を酔っ払わす一時的な効果しかないことは容易に理解できよう。筋肉の収縮は他力でも伸ばすことはできるが、弛緩したところを収縮させるには他力では不可能で、自力で収縮させる以外にない。ここに他力療法の限界がある。
 力学的ひずみを治す方法はいろいろ出てきた。西洋医学ではけん引を行うが、レオロジーの立場からみると、けん引は小学校程度の知識で、こんな幼稚な方法で治るわけがない。かえって悪くなる人もいる。伸びたところはますます伸びてしまうからである。
 そのほかカイロプラクティック、整体、整骨、導引(注:道教のメソッド)、骨盤矯正、股関節矯正の力学療法、仙骨矯正のMRT磁気療法、ヨーガ、本能法、真向法、指圧、針灸などで治らなかった患者が全国から大勢、私のところにくる。みんなレオロジー的に不完全だからだ。そのうえ、みなゆがんだままバランスをなんとか保っている。
 他力的療法ではかえって悪くなる人が何割かいる。私はかつて仙腸関節のズレを治すという有名な骨盤矯正法に行ったら、かえって悪くなり歩けなくなって困ったことがある。もちろん、治る人が何割かいるから営業として成り立つわけだが・・・・・・。最近はカイロプラクティック、整骨などで骨折事故が多発しており、厚生省(当時)調査では療術師の中で、毎日平均して2件の骨折事故が発生しているという。
 これはそれだけ酸毒症によるカルシウム不足(後述)が顕著ということだが、他力療法の危険はこの点にある。
 また断食、食事療法では症状はたとえなくなっても、力学的ひずみはそのままで、治っていない人が大部分である。その病気特有のひずみスタイルが残っていたのでは、またいつ発病するかわからない。
 前述のいろいろな他力療法はレオロジー的に不完全なだけでなく、『治病はあらゆる学問分野の総力戦だ』のところの表からわかるように、他の条件をなおざりにしているという点もいけない。近代的システム思考ができていないのだ。
 この力学的ひずみは自力による修正体操以外に完全に治す方法はない。ただし手術をしたことのある人は生活にまあまあ支障のない程度まではひずみを治すことができるが、体をゆがんだまま縫いつけて固定したのだから完全に治すことはできない。
 また修正体操ではどこまでやったらいいかというのがわからないという人がときどきいるが、そういう人は神経がマヒしている証拠だ。詳細は『医者いらず体操法』105ページを参照されたい。
自律神経の拮抗的二重支配
支 配 器 官 交 感 神 経 系 副 交 感 神 経 系
心         臓
血         管
血         圧
 冠      状    血     管 
気      管      支
体         温
瞳         孔
胃      運    動
分         泌
腸      運    動
膀         胱
皮         膚
腺    分    泌
膵    分    泌
副  腎  分   泌
甲  状  腺  分   泌
一 般 物 質 代 謝
全  般  的   に
心拍動強盛
血管収縮
上昇
血管拡張
拡張
上昇
散大
抑制
抑制
抑制
収縮筋の弛緩      
    (尿蓄積)
括約筋の緊張      
湿潤
低下
低下
アドレナリン生成増加
促進
亢進
活動的
心拍動減弱
血管拡張
低下
血管収縮
収縮
下降
縮小
亢進
亢進
亢進
収縮筋の緊張      
    (尿排出)
括約筋の弛緩      
———
増加
増加
アドレナリン排出亢進
抑制
減退
休息的
原崎式健康要語録」 体がかたいと、うっ血や血行不良を起こすので、生成した微小なガンを自然治療できなくなる
  運動の嫌いな人はそれだけで“病人”である
 運動不足は交通機関の発達によって極端になっている。運動をよくしている人でも、足だけというように部分的にしか使っていない人が案外に多い。全身を動かさなければ血行不良、うっ血を起こすわけだから病気になるのが当たり前だ。
 しかし運動さえしていれば、他はデタラメというのも困る。酸性食ばかり食べていてマラソンをやったら心臓マヒを起こす危険が大きい。
 体がゆがんだまま運動すれば膝痛・腰痛になるのは当然で、だから、総合的システムズ・アプローチが必要だ。
 山野をかけめぐって食糧を得ていた時代と人間の生理は変わっていないのだから、動かずに食べていたら慢性病にでもなって過剰なエネルギーを消費しなければ熱力学の法則に反する。
 なお全身運動としては本書中(これから話す)および『医者いらず体操法』の体操が一番よい。
 運動が嫌いな人は不健康で陰性体質であり、それがすでに病人たるゆえんだ。体を動かすのが気持ちのよいのが普通人の健康な生理というものである。
【酸性食】
白砂糖、肉、白パン食品添加物、化学薬品
  血液が酸性に傾くと病原菌が住みやすくなる
 健康な人の体液はPH7.35~7.40ぐらいであるが、PH7.30ぐらいの酸性に傾くと病気になるという酸・塩基平衡の病理学は大阪大学医学部、故片瀬淡(あわし)教授によって発見証明された。
 この病理学は全生活条件に関係するが、とくに過食、酸性食の偏重によって体液が酸性に傾くと、血液がよごれ、粘稠(ねんちゅう)となり、したがって血行不良、うっ血を起こし、また病原菌が住みつきやすくなって、炎症や化膿を引き起こす。
 最近では白砂糖の過剰摂取、肉食偏重による酸性化した人が多い。
 この酸性病にはアルカリ化健康食品”ハイレーベン”が特攻薬である。
 なお詳細は『医者いらず食事法』86ページを参照されたい。
  陰陽をまちがえると治るのに時間がかかる
 陰陽の理論は東洋哲学の発想によるもので、明治時代に陸軍薬剤監だった石塚左玄氏によって絶大な効果が証明された。
 私たちは大別して陰性、中性、陽性の体質に分けられ、それぞれ同性の飲食、または行動傾向をしている。したがって中性体質ならよいが、陰陽いずれかにかたより過ぎると、同じ性の病気になる。したがって体質と反対の飲食、または行動傾向をすることが治病に重要な要因となる。
 つまり同じ病気でも陰性と陽性では治し方が反対である。このことから一つの病気に対して千篇一律の方法では治らないことがわかるだろう。
 陰陽の体質は全生活に関係があるが、とくに飲食と運動に関係している。
 最近は減塩、果物の過食、甘党あるいは副食過剰によって強酸性体質になり、貧血、無気力の陰性病の人が多い。また動物蛋白の過食による強陽性病の人もかなりいる。
 他方、「陰極まりて陽、陽極まりて陰」という言葉があるように、極端な陰は陽に、陽は陰に転じる。これは幾何学的に無限大の円周は一致する、と考えればよい。これが陰陽の理論が哲学たる由縁(ゆえん)である。
 これを知ってか知らずか、陰性体質の人に陰性食を与えるという方法がある。確かにそれでも病気が治るのだが時間がかかりすぎる。陰に対して陽のほうがはるかに早く治る。
 これは一例だが、このように世の中には正反対の健康法、治病法が共存し、しかもそれぞれに成果を挙げている。これは一つには、単一な原理にこだわり過ぎているからだ。
 たとえば陰性の病人に陰性の生菜食を与えることは血液浄化あるいは毒抜きのほうに優先的に効いて陰陽の影響よりも大きいからだ。
 また粉ミルクや卵がよいという方法もあれば、動植物はすべていけないという方法もある。
 しかし乳児を育てるのに粉ミルクでは病気にかかりやすいが、玄米の重湯(おもゆ)と豆乳で丈夫で病気一つしないという多くの実証がある。そのため、われわれは断食直後の復食に玄米の重湯と豆乳を用いて驚異的病気の回復と活力を得てきた。
 これらの事実からわかるように、粉ミルクや卵は白米・白パンに普通の副食を食べるよりは、はるかにましだが、玄米と豆の組み合わせはそれよりもさらによいということだ。
 私は粉ミルク健康法を断食中や混合食として実際にのんで何度か実験してみてた。その結果、”グルトール(注:現在では同等品としてヨーグルゲン)”を週一回飲んでいると下痢便は出ず、はじめの二日ぐらいはよかったのだが、その後は体、とくに下腹に力が入らず、マラソンの記録は落ち、それでいてエネルギー過剰となり、四日目ぐらいにはご勘弁願った。
 結論として”グルトール”、”ハイレーベン”、ならびに玄米(重湯)と豆(乳)の組み合わせが一番よいわけだ。かくいう私にとって玄米と大豆・海藻・根菜・こんにゃくの煮物の組み合わせは最大の好物なのである。
 人はとかく単純で何でも一つの法則を金科玉条にしてそれだけで押し通そうとしたり、二者択一的に考えたがるが、病気の治し方は富士山の登り道がいくつもあるように、いろいろの方法が共存し、また一人一人最適方法は違うのだ。そこで私はベストの方法を追求するということだ。
 なお陰陽の理論の詳細は『医者いらず食事法』97ページ『医者いらず呼吸法』100ページを参照されたい。
<陽性体質と陰性体質の見分け方>
●先天的体質
項   目 陽          性 陰         性
①目
②目尻
③両目間隔
④眉毛
⑤鼻
⑥耳
⑦顔
⑧あご
⑨口
⑩ハゲ方
⑪手の指
⑫爪の形
⑬足の長さ
⑭歩き方
⑮脚型
⑯足の大きさ
細い、小さい
下がっている(たれ目)
離れている
太く長い
丸い、低い、大きくどっしりしている
大きく肉厚、頭にはりついている
丸いか角型、体に比べて大きい
張っている
小さい
頭頂からハゲる
太い、短い
丸っこい
慎重に比べて短い
内股で歩く
O脚
小さい
ぱっちりと丸い、大きい
上がっている
くっついている
薄く短い
高い、長い、小さく薄い
小さく薄い、横に張っている
細長いか逆三角形、体に比べて小さい
ほっそりしている
全体に大きい
額から上のほうへハゲる
細い、長い
細長い
慎重に比べて長い
外股で歩く
X脚
大きい
●現在の体質
項   目 陽         性 陰            性
①腹部
②筋肉
③体型
④顔色
⑤抜髪
⑥声
⑦笑い
⑧爪
⑨体温
⑩足腰
⑪ほてり
⑫だるさ
⑬血
⑭血圧
⑮大便
⑯体毛
⑰舌の色
⑱脚腰の力
⑲腹筋
⑳腹力
㉑内臓下垂
㉒柔軟体操
㉓病気
㉔病質
㉕睡眠時間
㉖眠気
㉗寝方
㉘寝起き
㉙汗
㉚肩こり
㉛頭痛
㉜頭のさえ
㉝ケガ
㉞追突
㉟しびれ
㊱立ちくらみ
㊲姿勢
㊳風呂
㊴字
㊵アルコール
㊶酒の好み
胃部が出っ張っている
弾力があってかたい
がっちりしていて筋肉の締まったずんぐり型
赤味が強いか、赤黒い
髪の毛はあまり抜けない
太く低い
大声で笑う
横じまがある、内側(下)に曲がっている
高め
温かい
体がほてる
体がだるくない
血の気が多い
高血圧
かたい、太い
濃い
褐色か黒っぽくなる
強い
強い
腹に力が入る
ない
体がかたい
病気をあまりしない
急性病にかかりやすい
短い
夜眠れない
夜中に布団より上に乗り出すか、蹴とばす
朝早く起きる
汗かき(多汗症
右肩がこる
後頭部
頭がさえている
足・腰にケガをする
自動車事故で追突する
首、肩、背中、腰が張る
めまい、立ちくらみがない
背筋が伸びている
好きで入浴後体調がよい
大きな字を書く
ガブガブ飲む
ビールや洋酒が好き
下腹部が出っ張っている
柔らかくぶよぶよ
ぶよぶよ太っているかやせて背が高い
白っぽいか、青白い
髪の毛が抜ける
弱々しく高い
タニタ笑う
強い縦じまがある、外側(上)に反っている
低め
冷える
体が冷える
体がだるい
貧血型
低血圧
細い、柔らかい
薄い
白くなる
弱い
弱い
腹に力が入らない
あり(胃下垂
体が柔らかい
病気や体の不調を訴えやすい
慢性病にかかりやすい
長い
一日中眠くなる
夜中に布団の中にもぐる
朝寝坊
汗をあまりかかない
左肩がこる
前頭部
頭がボヤーとする
顔・胸にケガをする
追突される
手足がしびれる
めまい、立ちくらみする
前屈姿勢
入浴後くたびれる
小さな字を書く
飲めない
日本酒が好き
●性格
陽          性 陰          性 
①陽気
②明朗闊達
③如才ない
④活動的、じっとしているのがいやで動きたくなる
⑤動作が早い
⑥頑固強情
⑦感情的
⑧決断が早い
⑨軽率
⑩積極的で楽観的
⑪小事にこだわらない
⑫豪放磊落
⑬気が短い(せっかち)
⑭ねばりがない
⑮あきらめがよい
⑯イライラして怒りっぽい
⑰物質に執着する
⑱物事をすぐ忘れる
⑲本や勉強がきらい
⑳おしゃべり
㉑聞き下手
陰気
陰険
愛想がよくない
物静かで、あまり動かない
動作がのろい
おだやかでやさしい
理知的
決断が遅い
慎重
消極的で心配性、悲観的
ちょっとしたことでくよくよする
繊細でデリケート
気が長い
根気が強い
執念深い
落ち着いていて怒らない
思想にこだわる
ねちねちと昔のことをよく覚えている
本をよく読む、勉強が好き
無口でおとなしい
聞き上手
原崎式健康要語録」 はげしい運動をする人で糖尿病患者はいない。
  病気は治るのが当然、手遅れ・体質・遺伝はない
 かつて私の恩師、故沖正弘先生は、医者に見放された死を間近にしたあるガン患者に、どうせ死ぬなら、せめて生きている間だけでも他人に感謝される存在になるようにすすめた。
 笑顔で病人の世話をしたり指圧をしてあげたりなど、自分の病気を忘れて徹底的に他人のために尽くすようにしたのだ。
 その結果、ガンが治ってしまったという事実がある。
 これはあまりにもドラスティックすぎるかも知れないが、精神身体医学の盛んなアメリカの医者が聞いたら、容易に納得してくれるのではなかろうか。
 このように、心の持ち方は、精神7割、肉体3割といわれるように病気(気=心のやまいと書く)には重大な影響がある。
 最近の人はエゴイストで、他人には無関心な人が多い。いつも他人と比較して立身出世や財産に欲をふくらませて、自らストレスをまねいている。
 詳細は『医者いらず呼吸法』210ページを参照されたい。
 先にも述べたように近代科学、エレクトロニクスやバイオテクノロジーなどの先端技術は単一の学問ではどうにもならず、みな生物学、化学、物理学など基礎学問の総合的システムズ・アプローチである。それと同じように、これからの治病法、健康法も、先に述べた表のようなあらゆる基礎学問に関係した原因と対策の総合的システムズ・アプローチでなければならない。
 単一な方法で治る場合もあるが、それは他の条件はととのっていたということである。治癒率50~60パーセントではいけないのだ。100パーセント病気が治る方法でなかったら治らない人はみじめだ。その意味で西洋医療法は「井の中の蛙、大海を知らず」である。
 私は現代医療をはじめあらゆる医療で治らないといわれた人しか相談を引き受けないことにしている。それらで治る人はお断りしてきた。したがって現代医療の終着駅で困っている人ばかりを相手にしてきた。他人にできることをしていても生き甲斐はないし、人にできないことにしか興味がないからだ。
 私たちはあらゆる生活条件、つまり心の持ち方、飲食、日常の動作、呼吸、排泄、運動などによって病気の原因を作り出している。とくに慢性病がそうである。
 原因を取り除くことは対策の第一歩である。前提条件であり、それだけで病気が治る場合も多いがさらに次の各論で述べるように、各病気に特有な対策をとることによって完全に病気を克服することができる。
 これまでに述べた共通基本とこれから述べる各論を両方合わせて確実に実行すれば、病気は治るのが当たり前で治らないほうが不思議なのだ、ということになる。「手遅れだ」とか「体質」、「遺伝だ」とかいうものはない。それはみな無能なものの言い逃れでしかない。
 また「医者の精密検査でどこも悪くないといわれました」と平気な顔をしている人が多いが、医者の診断で引っかかるようでは、もうおおごとなのだ。もっと早く前兆をキャッチできなければいけない。
 人間ドックや精密検査よりも、はるかに敏感な診断方法については『医者いらず呼吸法』90ページを参照されたい。
 なおこれからしばしば出てくる事項の詳細の出展を一覧表にして示しておく。出版はすべて徳間書店のトクマブックスである。
調息集中法:『医者いらず呼吸法』50ページ・本記事42ページ(【調息集中法】)
呼吸法:『同』42ページ
酸・アルカリ食:『医者いらず食事法』86ページ・本書54ページ
陰性・陽性食:『同』97ページ・本書54ページ
陰陽体質:『医者いらず呼吸法』100ページ・本書48ページ
米食:『医者いらず食事法』137ページ
食品添加物:『同』111ページ
ひずみ修正体操:『医者いらず体操法』105ページ
グルトール(現同等品ヨーグルゲン)『医者いらず呼吸法』149ページ・本書42ページ
デミガー療器:『同』96ページ・本書59ページ(下の【デミガー療器】)
吸圧:『同』93ページ
ラドン:『同』153ページ・本記事第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照
スピルリナ:『同』161ページ
ハイレーベン:本記事第3章の中の「肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照
バルト:本記事「第3章、Ⅴ耳鼻系、②アレルギー性鼻炎」参照
半断食:本記事第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」【半断食】参照
【ヨーグルゲン】
【飲食物の酸性・アルカリ性
アルカリ性 ひじき、こんぶ、わかめ、醸造酢、梅干し、日本茶
アルカリ性 ニンニク、大豆、いんげん豆、じゃがいも、枝豆、こんにゃく、しいたけ、しょうが、ホウレン草、トマト、魚の全体食、カレー粉、こしょう、干しブドウ、みかん、りんご
アルカリ性 小豆、豆腐、さやえんどう、玄米、玄麦、玄麦パン、そば粉、ニンジン、ごぼう、さつまいも、やまいも、竹の子、大根、たくあん、かぶ、きゅうり、菜漬、かぼちゃ、京菜、小松菜、キャベツ、玉ねぎ、レタス、なす、サトイモ、セロリー、カリフラワー、貝類、卵白、脱脂乳、人乳、サラダ油、わさび、ハチミツ、みそ、しょう油、片栗粉、栗、生ブドウ、レモン、もも、あんず、サクランボ、牡蠣、なし、ぶどう酒
弱酸性 ソラマメ、クルミ、落花生、精白小麦、マカロニ、スパゲッティ、そば、うどん、さけ、サケ、たい、うなぎ、どじょう、たこ、いか、ます、ひらめ、かれい、たら、にしん、こい、いわし、えび、チーズ、加工乳、ラード、ビール、ゴマせんべい
中酸性 精白大麦、白米、白パン、まぐろ、さば、数の子、練製品、レバー、バター、酒かす、コーヒー、ココア、日本酒、ウィスキー、ブランデー、ビスケット、ケーキ
強酸性 卵黄、ウサギ肉、鶏肉、ハム、ソーセージ、羊肉、豚肉、牛肉、白砂糖、ジュース、コーラ、タバコ、甘い菓子、アイスクリーム、チョコレート、あめ、カステラ
【飲食物の陰陽】
強陰性 みょうが、白砂糖、わさび、こしょう、とうがらし、バナナ、パイナップル、メロン、コーラ、ジュース、サイダー、ウィスキー水割、コーヒー、チョコレート、甘い和菓子
中陰性 ジャガイモ、生シイタケ、ピーマン、キュウリ、ナス、しょうが、青汁、ヨーグルト、牛乳、醸造酢、黒砂糖、ハチミツ、柿、ブドウ、ミカン、イチゴ、りんご、ブランデー、ビール、ワイン、日本酒、ビスケット
弱陰性 精白米・麦、枝豆、ラッキョウ、豆腐、大豆、うずら豆、ソラマメ、うどん、トウモロコシ、キャベツ、干ししいたけ、竹の子、サトイモ、サツマイモ、パセリ、ホウレンソウ、京菜、かまぼこ、ちくわ、つみれ、ハブ茶、紅茶、緑茶
弱陽性
もち、キビ、小豆、玄米、玄麦、あわ、ひえ、そば、ネギ、玉ねぎ、かぼちゃ、れんこん、ニンジン、ゴボウ、牡蠣、しじみ、あさり、はまぐり、わかめ、海苔、くず湯、番茶、塩せんべい
中陽性 ゴマ、がんもどき、油揚げ、ライ麦、落花生、浜納豆、ニンニク、ヒジキ、昆布、イカ、タコ、エビ、コイ、マス、タイ、ウニ、ヒラメ、ウナギ、サケ、チーズ、紅花油、コーン油、大豆油、たくあん、古漬物、梅干し
強陽性 塩辛、サバ、ブリ、マグロ、クジラ、バター、ソーセージ、ハム、鶏肉、卵、マトン、豚肉、牛肉、みそ、しょう油、菜種油、ゴマ油、塩
【病気と薬効食品】
風邪
百日咳
喘息
咳痰
生ネギ、にら、山椒
ゴマとトマト、生ネギ、生レンコン、ニンニク
カボチャの種
玄米、生レンコン、コンフリー
生レンコン、銀杏、笹、ふきのうとうの味噌煮、カボチャ、こんにゃく、
クルミ、山椒
ふきのとうの味噌煮、銀杏、黒豆、カボチャの種、へちま水、ニンニク
胃・十二指腸潰瘍
胃腸病一般
下痢
便秘
消化促進
キャベツ外葉、青海苔コンフリー、キュウリ、昆布
コンフリー、ふきのとう、ハブ茶、ニラ、山椒、玄米、ゴマ
ハト麦、生はこべ
ニラ、茶、梅干し、りんごの皮、げんしょうこ、くず粉、大根、玉ねぎ
玄米、ふき、竹の子、小豆、コンニャク、イチジク、山椒、ハチミツ、ひじき、
大根、ハブ茶
イチジク
シイタケ、大根、山芋、トマト、玉ねぎ、いちじく
肝臓病
胆石
心臓・血管病
高血圧症
しじみ、レバー、コンフリー、もやし、酢、ハト麦、海藻、牡蠣
ハト麦
酢、生レンコン、シイタケ
そば、玄米、りんご、昆布、ひじき、コンフリードクダミ葉、味噌、醤油、酢、落花生、キュウリ、ハブ茶
低血圧症
大豆、味噌、酢、そば、落花生、シイタケ
神経衰弱
頭痛
しそ、なつめ
茶、山椒
カボチャ、生玉ねぎ、ニンニク、ハチミツ、生ネギ
婦人病一般 ゴマ、よもぎ、黒豆
シミ
イボ
ジンマシン
ハト麦
ハト麦
玉ねぎ、コンフリー、コンニャク
腎臓病 イカ、柿、コンニャク、アスパラガス、黒豆、小豆、とうもろこし、きゅうり
神経痛
痛風、リウマチ
肩こり
玄米、ハト麦、そば、よもぎ、酢
ハト麦、ほうれん草
咽喉炎
耳鳴り
かぼちゃ
くるみ
ガン
糖尿病
ハト麦、玄米、しいたけ、アスパラガス、人参汁、にんにく、魚の卵、貝類
かぼちゃ、玄米、玄麦、ハブ茶、海藻
柿崎泰賢著「食物の効用」(東洋医学研究所)
【デミガー療器】 この器具の中にビワの葉エキスを入れ、電熱で蒸発させて皮膚のツボから体内にアミグダリンを浸透させることによって酸性体液を急速にアルカリ化し病気を治すという原理の器具。(問い合わせ先 東京都文京区本郷4-24-6,デミガー協会)
第2章 ゆがみを正せば慢性病は治せる
  Ⅰ 消化器系
   1 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 (原因)早食い、ねじれ、ストレス
                (治療)青のりなどのアルカリ食品と玄米
 初めに空腹時に腹痛がある。胸やけがする。したがって胃酸過多症や胃炎との区別ははっきりしない。
 症状が進むと食後2~3時間に腹痛があり、激しい痛みのときには、背中まで響き、背骨が痛むように感じる。胃潰瘍は空腹になれば痛みが止まり、小食にしたほうが痛まない傾向がある。
 一方、十二指腸潰瘍は空腹になっても痛みが続く場合が多く、多く食べた時のほうが痛む時間は短い。
 食べた物が胃の中にあるときには、胃液は食べた物で薄められているために、胃の粘膜を刺激しないので痛みはない。しかし食べた物が消化されて腸へ移動して胃が空(から)になると、ただれた胃の粘膜を胃液が刺激して痛みを感ずる。痛む箇所は胃の上腹部か、左上腹部がほとんどである。
 普通の胃腸病は、胃の働きが弱ったときに起こることが多いので、食欲不振や舌に苔が生えたりするが、胃潰瘍の場合には舌はきれいで食欲も正常である。
 胃潰瘍は軽症ならば痛みも耐え難い激痛ではないし、この病気のために死ぬようなことはないが、病気が進んで潰瘍部の血管が破れて大出血を起こしたり、潰瘍が崩れて胃に穴が開いて腹膜炎を起こしたりすると、生命に危険を及ぼす。
 潰瘍が大きくなって幽門部(十二指腸に通ずるところ)が狭くなってくると、腸への食べ物の通りが悪くなり、胃に食べ物が残留し、そこへまた食べ物が入ってくるので吐気がして苦しくなり、吐くと楽になる。
 出血は胃液または腸液のために、大便に混ざれば黒色の大便となり、吐けば黒色の吐血となる。
 胃潰瘍は、治らないままに経過すると、胃ガンに進む恐れもある。
 十二指腸潰瘍の前兆、症状は胃潰瘍と同様である。
 胃から分泌される消化液は、塩酸による強酸性で、蛋白質を分解するペプシンという物質を含んでいる。胃潰瘍というのは、胃液のために胃の粘膜が溶かされて、その部位がただれてくる現象である。健康な胃は粘膜を溶かすほどの大量の胃液を分泌しないし、またムチンという粘液が、胃液によって胃の粘膜を溶かされないように保護している。
 それがこれから述べる理由の複合結果として、自分が分泌した胃液で自分の粘膜を溶かすという異常事態を生ずるのである。
 胃は感情の鏡ともいわれ、第二の脳ともいわれる。胃の症状や、実際の働き方が精神状態によって左右されることは誰でも経験している。
 心配ごとがあれば食欲も落ち、寝不足が続けば胃も重くなり、上司にいやみをいわれるたびに胃が痛くなる人もいる。
 精神的強度の緊張や感情のもつれがあると、胃酸の分泌が高まったり、胃のケイレンが起こったりして潰瘍ができやすくなる。
 胃潰瘍では心配不安が、十二指腸潰瘍ではイライラが大きな引き金になるという。
 潰瘍は攻撃的因子(胃酸やペプシンなど)が増えれば増えるほど、あるいは粘膜防御因子(粘膜抵抗やムチンなど)が低下すればするほど潰瘍になる確率が高まる。
 精神的ストレスがかかると、胃液だけがすごい勢いで分泌され、逆に胃の血管が収縮して血流が悪くなって粘膜への栄養がストップし、粘液(ムチン)が作られなくなる。そこで、胃液と粘液の分泌のアンバランスが起こり胃壁が溶け出すわけである。
 この精神的ストレスを作り出している原因の一つは患者の性格である。自己本位に物事を考える人、心が狭く独善的な人、神経の細かい人に多い。
    ※胃腸病の人はせっかちで早食い
 潰瘍患者の食生活は、早食いと酸性食過多である。潰瘍になる人はせっかちで気が短いために、食べ物をろくろく噛まずに飲み込んでいる。
 また肉類、ハム、ソーセージなどの動物食、白砂糖を多用した菓子や副食物、飲物などの酸性食品は血液を汚し、胃への血流を悪くし、あるいは胃液の酸度を高める。
 また香辛料、コーヒー、酒類、炭酸飲料、たばこなども、胃の粘膜を刺激し、酸度を高める。
 潰瘍患者はみな必ず体が大きくひずんでいる。とくに重心が上がっている逆重心型で、右に重心が偏った右短脚型でかつ、ねじれが大きい。前屈姿勢の人も多い。
 このような力学的ひずみが大きいと、胃や十二指腸のうっ血による血行不良になり、潰瘍を生ずるわけである。また運動不足も原因としてあげられる。
 以上のようないろいろな要因が総合されており、原因を取り除けば、病は治そうと思わなくても自然治癒するわけである。しかし、以上のようにいろいろな要因が総合されて病気になっているのだから、どれか一つの原因だけ取り除いてもダメで、全部の原因を取り除けば驚異的に一気に治ってしまうわけだ。
 また、これらの原因をそのままにしておいて手術や薬だけで治そうとすることが、いかに非科学的かということが理解できよう。
 まず、精神的ストレスを解消し、交感神経の性格、せっかち、短気、イライラ(「第2章 慢性病は自力で治すしかない」の「万病の原因”力学的ひずみ”は自力修正体操でしか治せない」 「自律神経の拮抗的二重支配」参照)を変え、腹の血行をよくするためには、呼吸法による調息集中法(42ページ)を毎日、朝、夜各30分以上行うことだ。
 食生活については、意識的によく噛むこと。食物が口の中でドロドロになるまで噛む。
 玄米なら100回以上噛みたい。それによって精神的ゆとりが出てくる。
 原因のところで上げた酸性食品だけでなく、その他の酸性食品も治るまでは食べないこと。そしてアルカリ性食品に切り換える。
 食べ物で薬効的効果のある推奨品は次のものである。
 ①キャベツ:とくにみんなが畑に捨てる外葉がよい。抗潰瘍性因子のビタミンUが多い。熱にきわめて弱いので、生食しなければ効力はない(100℃で100分煮るとUの効力はゼロになる)。したがって青汁ジュースにした方がよい。
 ②青のり:ビタミンUがキャベツの数十倍も多く、食物中最高である。毎日大いに食べるべきだ。
 ③緑葉野菜:葉緑素は収れん作用、抗潰瘍効果がある。「ヘリクロゲン」(健康食品店にある)のようなものの方が葉緑素を大量に摂取できる。また一般に血止めのビタミンであるビタミンKは緑葉野菜に含まれているので、出血にもよい。
 ④海藻:カルシウムが多い。カルシウムは多すぎる胃酸を中和するばかりでなく、イライラなどを静める精神安定剤である。
 ⑤植物性蛋白質:潰瘍を治すために欠けた部分を補う必要がある。そのための蛋白質として豆腐や納豆、煮豆類、麩(ふ)などが最適である。
 ⑥玄米:玄米だけを、一口100回以上少しずつ噛んで食べ、しかもそれだけで潰瘍を治した人は多い。玄米はかたいから、かえって潰瘍に悪いと思っている人が多い。みんな常識的にしかものを考えられないが、「事実は小説よりも奇なり」である。玄米には未知の薬理による驚異的薬効があるのだ。
※胃腸病治療のメニューはこれだ
 一般に、胃潰瘍は陰性で十二指腸潰瘍は陽性といわれる。そこで献立の一例を次に示そう。
胃潰瘍を治す献立の一例
 主食:玄米、重症の場合には玄米のおかゆをミキサーにかけるか、玄米の重湯(おかゆの液体部分)。100回以上噛む。
 みそ汁:みそは豆みそ。ダシは昆布。具はわかめ、ネギ、玉ネギ、油揚げ、とろろ昆布など。
 副食:春菊、ほうれん草のおひたし、キンピラ、ひじき、れんこん、人参、梅干し、古漬け、青のり、キャベツ。——塩気を利かす。
十二指腸潰瘍を治す献立の一例
 主食:玄米。水は少し多目にする。重症の場合には玄米のおかゆをミキサーにかけるか、玄米の重湯。
 みそ汁:麦みそ。ダシは昆布とシイタケ。具はわかめ、ネギ、玉ネギ、大根、白菜、もやし、えのき、豆腐など。
 副食:ひじき、こんにゃく、春菊、ほうれん草、青のり、キャベツなど。
 主食対副食の比は7対3にする。
 次に力学的ひずみを修正体操(59ぺーじ)で治す。
 潰瘍に手術は全く不要で、私は以上のような方法で薬も手術もしないで潰瘍患者を全快させている。
 また内臓強化体操(後述)は、運動不足の多少にかかわらず、多大の効果がある。ただし、なるべくひずみを修正してから行っていただきたい。
 内臓の病気の直接的原因は内臓の貧血やうっ血である。とくに肝臓・腎臓は人体の化学工場であるから多量の血液を処理し、また胃も貧血やうっ血の影響を受けて変調を起こしやすい臓器の一つである。この三つの臓器は相互に関係が深く、このうちの一つの臓器が変調をきたすと、他の二つの臓器も変調を起こす場合がある。
 また内臓を支配している自律神経は、背骨の中を通って各臓器に接続している。肝臓は胸椎4番、7番に、胃は胸椎5番、6番、11番に、腎臓は胸椎10番にそれぞれ関係している(『医者いらず体操法』55ページ)
 ところが姿勢が異常になると背骨が曲がったりねじれたりして、そのため神経が圧迫され、臓器が正常に働けなくなっている場合がある。
 したがってこれらの内臓の変調を治し、強化する体操はすべて腰腹筋を柔軟にし、かつ強化し、腹圧を高めて腰腹部の血液循環をよくするものと、姿勢と背骨の異常を正し、神経の働きを整え高める体操を中心とするものである。
原崎式健康要語録」 右肋骨下に、右手の人差し指から小指までの4指を突っ込んで痛いか抵抗が大きければ、肝硬変の前兆である。
   2 肝臓病 (原因)動物蛋白・脂肪・合成化学薬品の過食
           (治療)アルカリ食品と貝類
 一般に肝臓はきわめて丈夫な臓器なために、肝臓病は前兆とか症状があまりない。
 したがって肝硬変になっても痛みがなく、お腹が張ったり、黄疸や痔などを起こし、食欲不振で舌が白いくらいの前兆しかない。
 しかし、乳頭線上の右肋骨下に、右手の人差し指から小指までの四指を突っ込んでみて、痛いか、抵抗が大きければ(正常なら楽に指の第二関節まで入る)、肝硬変の前兆とみられよう。
 肝硬変が進んでくると、胃腸に障害が起こり、吐血したり、腹水が溜まる。そして体がだんだん衰弱してくる。一般に肝臓の悪い人は白眼が濁り、顔色が悪く、肌にシミが多い。
 東洋医学では、「怒りは肝を害す」という。つまり、怒ると怒った人の肝臓が悪くなるわけだ。怒られた人ではない。
 それも、怒りが内にこもって八つ当たりのように外に発散できない場合はさらに悪い。これも精神的ストレスの一種といえよう。
 肝硬変に限らず、一般に肝臓にもっとも悪い食品は、肉類をはじめ陸上動物の蛋白質と脂肪、ならびに合成食品添加物・加工食品・農薬・肥料などである。
 もっと一般的にいえば、肝臓はアルカリ臓器であるから酸性食品(54ページ:「運動の嫌いな人はそれだけで“病人”である」参照)に一番悪いのである。
 肉類そのものだけでなく、ハムやソーセージのような肉の加工食品もダメである。またチーズを毎日一切れ食べていて肝臓病になった若者もいる。動物脂肪が多いからだ。
 食品添加物は、日本では347種類も認可されていて、その使用量は世界中でもっとも多く、日本人一人当たりの一日の食品添加物の摂取量は平均10グラム以上だといわれている。
 食品添加物・加工食品・農薬・肥料などがどんな食品に使われ、どんな害があるかは『医者いらず食事法』111ページを参照されたい。これを見ると、安心して食べられるものがなくなってしまう。
 これらの化学薬品はたとえ厚生省が認可したものだとはいえ、人の生体から見れば、医薬品も合成化学薬品で明らかに異物である。
 したがって、肝臓はそれを分解しようとして大奮闘しなければならない。そこで合成化学薬品の摂取量が多すぎれば肝臓が故障を起こすのは理の当然である。
 その証拠を次にあげよう。酒類のつまみに純正食品、つまりこれらの合成化学薬品や陸上動物性脂肪がゼロかきわめて少ない食品を食べたときに、ほろ酔い気分になるまでの一種類のアルコール飲料の分量を測ってみる。次に、合成化学薬品や陸上動物性脂肪のふんだんに入っている粗悪な食品、たとえばハム、ソーセージのようなものだけをつまみにして同じアルコール飲料を飲んでみよう。そうすると、後者の方が前者よりも少ないアルコール飲料で酔い、しかも、必ず悪酔いして気分が悪くなる。
 これらの合成化学薬品は一般にアルコールへの溶解性が高いので、アルコール溶液となって胃から体内に速く吸収され、肝臓をイッキにタブるアタックするからである。
 またぶどう酒についても、比較的添加物の少ない高級ワインと添加物の多い安物ワインとの比較で同じような現象が認められる。
 たしかにアルコールの過飲は肝臓に悪いが、それ以上に悪いのが動物性蛋白・脂肪と合成化学薬品である。
    ※肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる
 また過食も肝臓に悪い。食べて所から吸収されたものはみな肝臓で処理されるのだから、どんなよいものでも食べ過ぎたら体に良くない。
 世の中に飲み過ぎてよいもの、食べ過ぎてよいものは一つもない。水ですらそうである。
 一般に肝臓の悪い人は、体の右側が縮んでいる。それは右側筋を縮めることによって肝臓の血行をよくしようとする自然の要求なのだが、これが固定化するとうっ血になる。したがって右短脚型で、右にねじれた人が多い。
 原因を除くためには、まず、精神的ストレスを解消し、肝臓の血行をよくするために、呼吸法による調息集中法(42ページ「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)を毎日行う。
 第二に、飲食物としては、肉類、チーズなどの陸上動物性蛋白をやめて、玄米・菜食にし、蛋白質は豆類および豆腐・納豆などの豆製品にする。
 一般に、しじみ、かきなどの貝類は肝臓の薬である。しかし食物では量的にとり切れないので、しじみエキスやかきエキスとして薬用に取った方がよい。重症でなければ魚の全体食(頭から尾まで)、カルシウム豊富な海藻(ひじき、こんぶ、わかめ)もよい。
 小麦胚芽・葉緑素などを配合したあらゆる酸性病の特効薬”ハイレーベン”(第二化学研究所、東京都渋谷区東1-13-4 MATビル203)は是非とりたいものだ。この一袋を適量の体温以下の水で溶き、一日三回飲むとよい。
 健康補助食品だから量は多くなってもさしつかえなく、飲む時期もいつでもよいが、しいていえば吸収のよい食事の前ということになる。
 スピルリナ(59ページ:「病気は治るのが当然、手遅れ・体質・遺伝はない」醸造酢も肝臓によい。
 合成化学薬品の食品添加物や加工食品にはとくに注意してほしい。食品の包装紙等に示されているこれらの表示は、見にくいように小さく書かれている場合が多いのでよく見る必要がある。
 白砂糖も強酸性であるから避け、蜂蜜か黒砂糖にする。アルコール類も治るまではやめたほうがよい。タバコは肝臓に特に悪いからこの際やめる。
 断食または半断食(41ページ:「慢性病の一大原因は毒の蓄積」)は、肝臓病には抜群の効果がある。肝臓の休息ができるからである。そして真に治り肝臓が修復されるのは復食後である。したがって復食をうまくやらないと失敗する。
 肝臓病は酸性病であるから徹底的にアルカリ食(54ページ:【飲食物の酸性・アルカリ性】)にしなければならない。また、力学的ひずみは修正体操(59ページ:「病気は治るのが当然、手遅れ・体質・遺伝はない」の項)で治す。
 また肝臓病の人に多い特性として運動不足があげられる。それには前に述べた内臓強化体操は多大の効果がある。
 以上のことからもわかるように、千葉県の小倉病院(木更津市旭町1-8-17)では、一日一食の純正自然食と10キロジョギングで多くの肝臓病患者を治してきた。肝臓系統のツボは足にたくさんあるのだから、これは合理的だ。
 また肝臓は温めると、働きがよくなる。また血液の浄化も含めてデミガー療器にビワの葉エキスを用いると、肝臓病によく効く(『医者いらず呼吸法』27ページ)。
    ※玄米ジュースで肝ガンが治った
 長い肝硬変で肝ガンに移行しかかり医者からも見放された人が玄米ジュースで治った例がある。それには玄米一合を水につけて日当たりのよいところに置き、朝夕二回水を取り替える。これを毎日つくり、五日たったら、その玄米の三分の一合を一合の水とともにミキサーにかけて飲む。これを三食する。
 この人はこの玄米ジュースを飲み始めて12、3日したら、重病人なのに腹が減って困ると言い出し、しかもそれまで続いていた下痢が普通便になったという。
 またこの人は人参と野菜の混合ジュースを飲み、副食には制ガン食の麩(ふ)、もずく、椎茸、アスパラガス、梅干しなどをとり、ビワの葉湿布も一日二回した。それで腹水でポンポンに張っていた腹がやわらかくなり、肝臓部に指が押し込めるようになったという。
 医者から即刻入院を命ぜられた肝臓病患者でも、私の健康教室で習ったことを実行し、大体三か月以内にみんな治っている。
   3 腎臓病 (原因)精神的ストレスとデタラメな食事
         (治療)調息集中法とカタツムリの粉末

 腎臓は人体の基礎活力を出したり貯蔵する臓器である。また右の腎臓は生殖力と関係がある。

  腎臓の機能が低下すると、動作がぎこちなくなり、円滑を欠いたりする。また記憶の混濁や忘却などの病状が出る。さらに悪くなると、体がダランとして緊張を失い、昼間でも寝ていたいほどだるくなる。脳の発育不全も腎臓の機能低下である。

 年をとって腎臓の機能が低下すると、歯が早く脱落したり、難聴や耳鳴りの原因となる。

 変形性膝関節症や変形性脊椎症などで、骨からカルシウムが抜けて膝や腰に痛みが出るのは、腎臓の機能低下のために、カルシウムが吸収されて骨に沈着することが阻害されるからである。

 カルシウムの吸収や骨への沈着にはビタミンK、Dも必要だ。またいっぽう、蛋白同化ホルモンなどのホルモンも必要で腎臓はホルモンとも関係がある。

 腎臓の機能が低下すると、内分泌失調になるし、自律神経失調症とも関係がでてくる。

 腎臓の機能が低下すると、体内の余分な水分が排泄されないから、むくみが生じ、これは皮下に溜まるばかりでなく、肺や気管などにも溜まり、喘息やアレルギー性鼻炎の原因となる。

 また腎臓は、生命力と深い関係があり、自己免疫疾患(強皮症など)、慢性関節リウマチなどとも関係がある。

原崎式健康要語録」 腎臓の機能が低下すると、動作がぎこちなくなり、記憶の混濁や忘却などの病状が出る。

    ※急性の腎臓病は尿が減り、慢性は尿が増える

 急性は、はじめ38度以上の熱が出て、血圧が高くなり尿の量が減り、尿の色が濃くなって、濁って、ときには血を交えて赤味を帯びる。

 同時に尿が出ない分だけ体内に水分が残り、顔や手足がムクんでくる。

 慢性になると、尿は減らず、あるいはかえって少し増して、ことに夜、たびたび小便に行くようになることがある。このときでも、尿中の悪い成分だけは十分に出ず血の中に残るのであり、これはかえって質(たち)が悪い。顔色も悪くなる。視力が衰えてくるのは尿毒症の前兆である。

 また、うつ伏せに寝て、両手を肩の下に半分入れ肘を曲げたまま頭とヘソから上の上体を起こし、腎臓を刺激し、抵抗が大きいときは腎臓機能が低下している証拠である。

 腎臓病は尿中に蛋白が出るという症状が出る。だれにでもできる検査方法として、尿の試験紙ウロペーパー(蛋白、血尿、PH、ブドウ糖の検出)が薬局で売られている。

 尿の色が濃茶色になり、トイレにたびたび行っても、出る量が少なくなる。重症になると、血尿の色が赤い肉汁のようになる。この色が薄くなってくれば快方に近づいたことになる。

 重くなっても熱や痛みや苦痛を感じない。

 東洋医学では、「志は腎(副腎)に宿る」といい、副腎は腎系のひとつとして同系の腎臓と深い関係にあり、また「腎臓が悪いと不安感が強くなる」といわれるように腎臓も胃や肝臓と同様に、精神的なことと密接に関係している。

 したがって精神的なストレスもまた腎臓病の重要な原因となるわけだ。

 腎臓病患者には飲食がデタラメな人が多い。腎臓は肝臓や腸とともに代表的なアルカリ臓器であるから、酸性食品によっておかされやすい。また腎臓も肝臓ともに人体の化学工場であるから、合成食品添加物・加工残留薬品・残留農薬・残留肥料などの合成化学薬品の悪影響を敏感に受ける。

 腎臓病にも陰性と陽性の二つのタイプがあり、同じ酸性食品でも、白砂糖や白米・白パンのような陰性食品の過食からなった場合と、肉類や塩分のような陽性食品の過剰からなった場合とがある。

    ※食品添加物は腎臓病の敵

 八年間も人工透析をして小便の全く出ない腎臓病患者に、好きな食物を聞いたところ、野菜が嫌いでハムが好物だと答えた。

 実は、ハムには次のような食品添加物が使われている。発色剤として亜硝酸ナトリウム、結着剤としてポリリン酸ナトリウム、保存料としてソルビン酸、そのほか合成着色料、合成化学調味料などである。

 亜硝酸ナトリウムは動物性蛋白質から発生するアミン類と直接反応して、効力な発ガン剤であるニトロソアミンになることが知られている。この反応は0℃でも進行するがPHともたいへん関係があり、とくに血液が酸毒化状態(アチトージス)では急速に進行するものと考えられている。そのほか、メトヘモグロビン血症を起こし、呼吸障害、悪心、嘔吐、発汗、チアノーゼ、消化器障害などの毒性が知られている。

 またポリリン酸ナトリウムはカルシウムの泥棒で、血液中のカルシウムだけでなく骨をも溶かし出し、アチドージスになる。

 こんなものを毎日のように食べていたのでは、腎臓が悪くならないほうが不思議である。

 腎臓は内臓の中でもっとも下垂しやすい臓器である。胃下垂の人は、胃よりもずっと早期に腎臓が下がっている。内臓下垂については後で述べるように猫背で腰と腹の力が抜けた体型になっている。その原因は運動不足と神経の疲労である。

 腎臓病の人も運動不足で腰と腹の力の抜けた人が圧倒的に多い。

 また、骨盤の左右の高さに差ができると、一般に、骨盤の高い側の腎臓が悪くなる。

 腎臓が位置異常を起こし、圧迫されて、血行が悪くなるからである。

 昔から「肝腎かなめ」といわれるように、肝臓と腎臓はきわめて重要で、眼・心臓・耳・鼻をはじめ多くの器官の故障の原因となっている。一般に腎臓病は肝臓病よりも治りにくく、人工透析患者は現代医学はもちろん、あらゆる医療法でも不治とみられている。

 まず、精神的安定を得るために、調息集中法を毎日、朝、夜30分以上は行いたい。また精神不安をなくすために、正しい宗教を持つことも必要であろう。

 第二に、飲食がデタラメな人が多いから、それを厳重に管理する必要がある。献立の例として、陰性の腎臓病患者には、主食は小豆(あずき)入り玄米にゴマ塩をかけ、副食として、ごぼう、れんこん、人参などの根菜にひじき、こんぶ、わかめなどの海藻、納豆、鉄火みそなどの陽性食品。塩分はおいしく感ずる程度には使った方がよい。陰性の人が塩分を制限すると、かえってだるくなり、便秘しやすくなる。

 陽性の腎臓病患者は、水を多めにした小豆入り玄米に、副食として、しいたけ、ほうれん草、春菊、豆腐、もやしサラダなどの陰性食品をとり、塩分はなるべく控える。

 合成食品添加物・加工食品を徹底的に避けるように努力する。

 また白砂糖、肉類などの強陰性、強陽性で勝つ強酸性食品を食べないこと。飲物についても同様である。

 補助健康食品として”ハイレーベン”(83ページ:「肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照)をとっていただきたい。

 第三に力学的ひずみ修正体操を行って、体のひずみをとり、腎臓の位置異常を正し、腎臓への圧迫を取り除き、血行をよくする。

 また、腎臓病の人は運動不足の人が多いので、前に述べた内臓強化体操、前で述べた内臓下垂体操を是非やっていただきたい。

 腎臓病を治す医薬品はない。ムクミをとる医薬品しかない。

 ところが、民間療法として「カタツムリの粉末」(エスカルゴ)がある。つぎに、これで80歳の老人が人工透析から脱却したという世界的歴史的事実を述べよう。

 西山栄一さん(当時80歳)は、昭和53年春、K大学病院で”腎不全”と診断され、それ以来、人工透析治療を続けてきた。ところが、同病患者の一割が他界していったのを見て、現在の医療に疑問をもった。

 そこで、多くの漢方医療や民間療法を調べたところ、昭和51年1月および5月号の『主婦の友』生活シリーズ誌上で、人間医学社会長大浦孝秋氏(故人)の「カタツムリの薬効」の論文に出会った。また昭和56年11月号、12月号の人間医学誌の「カタツムリは万病に効く」を読むに及んで光明を見出し、担当医師の大学病院の助教授に相談したところが、言下に却下された。

 そこで自分の体で試してみるしか方法がないと考え、目標を一年として、昭和58年6月から、人間医学社(大阪市北区芝田1丁目1-25)より毎月10個ずつ「カタツムリ粉末」(エスカルゴ)を送ってもらい、小麦胚芽と併用して服用した。同時に卵油(レシチン)も朝夕併用した。90日を経過したころには不思議に全身より活力が湧き出てくるのがわかり、かつ尿の出もよくなってきた。はじめてから満1年6ヶ月目に、「私の責任において透析治療を中止いたします」とK大学病院に申し入れたところ、病院では前例がなく現代の医療の常識では考えられないことだ、といった。

 同病患者で尿閉の人も「カタツムリ粉末」を服用して尿が出るようになった人は、ついには服用半年で1日700~900㏄も出るようになり、体も軽くなり、活力が出てきたという。

 なお現在「カタツムリ粉末」はデミガー協会(58ページ:「病気は治るのが当然、手遅れ・体質・遺伝はない」参照)で取り扱っている。またこれに代わる新製品として「レッドボーン」が前記の人間医学社から発売されている。

 かつて私の母は、スイカで、自らの腎臓病を治した。スイカは昔から腎臓病の民間薬とされていた。

 腎臓は肝臓と同様に、温めると機能がよく働くので、デミガー療器(58ページ:「病気は治るのが当然、手遅れ・体質・遺伝はない」参照)は抜群の効果がある。

   4 糖尿病 (原因)美食、大食、運動不足
         (治療)断食、半断食、運動
  むやみにのどが渇いたり(対毒排出要求)、インポテンツは糖尿病の前兆だ。

 さらに進むと尿に糖が出る。だれにもできる尿の検査方法として、尿の試験紙、検査器具が薬局で売られている。

 糖尿病の人でいくら食べても食べたい人は重症である。

 この患者の特徴はいつも何かもの足りないと考えている貧乏性で、また他から得る一方で与えることを好まない人に多い。

 したがって、食べることには熱心だが、エネルギーの放出をしない。そのために過剰な糖が小便にオーバーフローするわけである。

 昔からぜいたく病といわれるように、糖尿病の人は、たしかに普通の人よりも美食で、大食漢が多い。また糖を減らそうとして、炭水化物を制限し、その代わりに、肉類を食べて栄養を補おうとする人もいる。しかし、糖尿病は基本的に酸性病であるから、肉のような強酸性食品をとっていたら、ますます悪くなるばかりだ。

 また一般に足腰が弱く、したがって重心の上がった逆重心型が多い。膵臓(すいぞう)が悪いので、左側筋が縮んでいて、それでいて消化器系の病気だから、右に重心が偏り、右にねじれたタイプが比較的多い。

 運動不足は歴然としている。はげしい運動をする人で糖尿病患者はいない。

 呼吸法の調息集中法(42ページ:「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)によって糖尿病特有のイライラを治すとともに、ケチな貧乏根性を捨てて、他に貢献することに人生の意義を見出す人生観の変革が必要である。

 第二に、断食、または半断食(41ページ:「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)をして、体内の余分なエネルギーや毒物・老廃物を放出すること。よく運動すれば、数か月以内で治ってしまう。これは前に述べた原因を考えれば、容易に納得できよう。

 ところが糖尿病の人は、「自分だけはそんな常識はずれの方法はできない」とやりもしないのに思い込んでいる。

 食事をするにしても、徹底的にアルカリ食の少食にすべきだ。それには玄米・菜食、蛋白質は豆類のような植物性のものからとり、100回以上噛むこと。

 白砂糖、白米、白パンなどの過食からきた陰性の糖尿病と、動物性蛋白・脂肪などの過食からきた陽性のそれとがある。それぞれ、副食には陽性食、陰性食にすべきことは言うまでもない。

 玄米は白米と同じ炭水化物であるのに、白米では糖尿病になるが、玄米ではならない。したがって、主食の玄米に対して副食の全量は二分の一ぐらいにする。

原崎式健康要語録」 世の中に飲み過ぎてよいもの、食べ過ぎてよいものは一つもない。水ですらそうである。

    ※小豆南瓜、抹茶は糖尿病の良薬

 陰性、陽性にかかわらず、副食として毎食食べたほうがよいものに小豆南瓜(あずきかぼちゃ)がある。この作り方は、まず小豆をある程度やわらかくなるまで煮て、塩を入れる。それに小豆と同量の南瓜と、少量のネギのヒゲ根を入れて煮る。

 陰性体質の場合にはこんぶを少量加える。

 また日本茶、とくに抹茶は糖尿病の薬である。南瓜を粉末にして糖尿病薬としても売られている。

 糖尿病は酸性病だから、補助健康食品”ハイレーベン”(83ページ:「肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照)は是非とりたい。

 第三に、力学的ひずみはひずみ修正体操で正す。さらに、内臓強化体操を実行する。ジョギング(10キロ以上)も大いにやった方がよい。

 私の健康教室でも糖尿病患者はみんな数か月で全快している。

   5 内臓下垂 (原因)暴飲暴食、とくに白砂糖、果物の過食、運動不足
          (治療)陽性食品、とくに玄米と運動

 私が内臓下垂を慢性病として取り上げるのには理由がある。

 内臓下垂になると極端に元気がなくなり、動くのもシンドク、食物の吸収が悪くなり、やがてやせ衰えて廃人同様になってしまう。

 手術しても二年以内に死んでしまう。現代医学ではお手上げの慢性病である。

 この症状の特徴は以下のとおりである。

 胃は痛まないけれど、ものを食べると胃部の膨満感があり、何となく腹に力がなく気持ちが悪い。水分を多くとると、ポチャポチャという水振音がする。便秘をする。食欲不振。

 胃がヘソ下まで下がると、食間でも下腹で水振音がする。これは仰向けに寝て、指先で腹を叩いてみると、よくわかる。

 空腹感がほとんどない。腹具合が悪い。

 原因は食べ過ぎ。カルシウム不足。暴飲暴食。とくに、陰性食品の過食である。白砂糖及び白砂糖を使った甘い菓子やおかず、果物あるいは飲料を多量にとっている人に多い。

 白砂糖は強陰性で、陰性食品は、筋肉を弛緩させ、膨張させ、伸びっぱなしにし、弾力性を失うのだから、内臓を下垂させるのは当然である。

 また冷たいもの、水っぽいもの、果物などは、典型的な強陰性である。ある二十代の若奥さんが、陰性の無力症で相談に来た。体がだるく食欲もまるでないという。

 ところが、何かの話の中で「スイカなら半分ぐらい食べてしまう」といった。これでは陰性の無力症になるのが当たり前だ。塩気は陽性だから、このごろのように、何でもかんでも、減塩減塩では、無力症になり、やがて内臓下垂になってしまうだろう。

 内臓下垂の人のもう一つの原因は運動不足である。運動は強力な陽性化であるから、多少の陰性食品過剰なら内臓下垂まではいたらない。それでは運動していたら、白砂糖や果物をいくら食べてもよいかといえば、必ずしもそうではない。その証拠に、かつてオリンピックの女子水泳選手で、胃下垂のために実力が発揮できなかった人がいる。

 運動不足で、足腰が弱ると、重心が上がってしまうから、下腹に力がない。

 下垂症の人は腹巻やバンドで内臓を上げようとするが、それでは過保護で、永久に治らない。下腹の筋肉自体が腹巻やバンドの役目をするほど、強くならなければダメだ。

 自動車の運転手に胃下垂が多いのも、猫背で、腹に力の抜けた姿勢を一日中しているからだ。

 まず、陰性食品を徹底的に止めなければ内臓下垂は治らない。よく「控える」という人がいるが、「控える」なんて中途半端なことをしていては治らない。

 どうしても甘いものがほしくなったら、黒砂糖か本物の蜂蜜(インチキ物が多いから内容をよく確認すること)にする。三温糖でもあぶない。

 主食は玄米を100回以上噛む。副食は根菜(ごぼう、れんこん、人参など)、海藻(ひじき、こんぶ、わかめ)、小魚、貝類、黒ゴマ、梅干しなどにし、塩気はおいしい程度に大いに使う。

 カルシウムは筋肉の弾力性をつけるので、大いにとること。また補助健康食品として、”ハイレーベン”(83ページ:「肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照)をとりたい。

 運動として、はじめはジョギングやテニスのようなものよりも、寝て行う内臓下垂を治す体操のほうがよい。これがスイスイできるようになるまで続ける。

 私の知っている範囲では、胃下垂を手術した人はみな二年以内に死んでいる。

 内臓下垂を軽視してはいけない。

 下垂症を治すには、陰性食品をやめて陽性食品にし、体操で治す以外にベストの方法はない。それは私自身、かつて下垂症を自ら治した経験から、一番よく知っている。

 胃下垂をはじめ内臓が正常な位置よりも下がっている人は、猫背で腰と腹の力が抜けた体型の人に多い。運動不足と神経の疲労などがその原因であり、内臓下垂が一つの要因となて内臓に慢性的故障を起こしている人が非常に多い。

 またこの体型は精神的にも無気力にする。下垂体質は血行も栄養状態も悪くなり、全身が不健康になる。

 下垂体質の人は腹力・腕力が弱く足の裏筋肉が縮み、体重が足の外側、とくにかかとにかかっているので、この点も正さなければならない。

 したがって体操は①腰・腹筋を強化し、骨盤の力を高めて、内臓の血行をよくし、②肩・首の力を抜き、内臓の緊張力を高め、筋肉・骨格を正しい位置に戻す、という効果をもつ。

   6 便秘 (原因)右ねじれ、運動不足、精神的緊張
        (治療)調息集中法、ごぼう

 私は便秘は代表的な慢性病だといっている。理由は、

「便秘は万病のもと」といわれるように、たまった便が腐敗すると毒素を出し、それがガンや脳卒中などの慢性病につながってくる。

 便秘をしなかったら、直腸ガンや胃ガンになりたくてもなれない。

 また便秘は気分が悪いものだ。私は一日三回の排便が一回にでもなったら、仕事が手につかないのである。

 手の親指と人差し指から小指の骨の交点の手前のところを、反対側の手の親指と人差し指で両側から力一杯押さえる。そのとき痛ければ便秘である。両手について行い、より痛いほうの側の下腹に大便がたまっている。

 大便中の悪い成分が血中に吸収されて頭痛がしたり、口が荒れたり、食欲がなくなるのを無力性便秘という。

 また便は少しずつ出るが、細いひも状、または平たい便で快通しない場合を緊張性便秘という。

 一日一回またはそれ以下の排便では便秘で、少なくとも二回以上の排便が正常。

 便秘にも次のようにいろいろの種類がある。

 ①弛緩性便秘――陰性食品やカルシウム不足(酸性体質)、あるいは運動不足によって腸が弛緩して起こる便秘である。

 ②緊張性便秘――旅行中の便秘のように精神的緊張などによって筋肉がこったために起こる便秘である。

 ③無力性便秘――腹圧が低く腰腹部の血液循環が悪いことから生ずる便秘である。

 ④移動性便秘――体の力学的ひずみのために腸が正常な位置にないために起こる便秘である。

 ⑤癒着性便秘――腸の一部が癒着を起こしているために起こる便秘である。

 食生活としては、繊維質の少ないものばかり食べているのが一つの原因となる。

 つぎは運動不足、弛緩性や無力性の原因の一つになっている。

 また体の力学的ひずみが、移動性、癒着性の原因となっている。

    ※小豆は便秘の薬

 調息集中法(42ページ:「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)で便秘が治ったという読者からのお手紙が一番多い。たしかに腹式呼吸はすぐれた内臓運動で、腹圧が高まり、リラックスするから、いずれのタイプの便秘にも効果があるわけだ。

 三日に一度しか出ない便秘の人が、玄米菜食を食べるようにしたら、翌日から毎日排便があるようになった例は多い。小豆は便秘の薬だから、小豆入りの玄米赤飯にすると、普通の人では一回は余計に排便する。

 副食で、もっとも効果があるのが、ごぼうだ。とくに油でいためて煮たキンピラにすると、陽性が強化されるのでさらによい。

 柳川どじょうにしてもよい。また、ひじき、こんぶも排便を促進する効果が多きい。葉菜類もよい。

 白砂糖、果物、肉類をやめて陽性アルカリ食にしたい。

 運動としては、いずれのタイプでもまず力学的ひずみを修正すること。

 便秘の人は逆重心型が多い。

 移動性・癒着性はひずみ修正以外に治す方法はない。一般に、右にねじれていると便秘し、左にねじれると下痢しやすい。

 断食または宿便排出健康食品”グルトール(現ヨーグルゲン)”(42ページ:「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)の飲用はいずれのタイプでも必須条件である。また”ハイレーベン”(83ページ:「肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照)も効く。

 便秘を治す体操はいずれのタイプにも絶大な効果があり、ひずみ修正および”グルトール”と併用したら、便秘は100パーセント治る。

 前述のように便秘にはいろいろの種類があるが、この排便促進体操を行うことによって、弛緩性便秘では腰腹部が適当に締まり、緊張性便秘ではこった筋肉が柔軟化し、無力性便秘では腹圧が高まり、腰腹部の血行が促進され、移動性便秘では腸が正しい位置に戻り、癒着性便秘では内臓の働きが促進される。そして全般的に神経とホルモンの働きが活性化され、腰も強化され、内臓の働きが盛んになり、腸のぜん動や腎臓の働きが促進され、大小便の排泄能力が高まる。

原崎式健康要語録」 ガンの栄養は毒素だから、ガン患者は毒のかたまりといえる。
   7 痔 (原因)便秘、血行不良
       (治療)逆立ち

”痔”という字は”お寺が病(やまい)”と書くのだから、一大事なのだ。”痔の悪いスタイル”は実は”早死に”のスタイルといえよう。

 痔にもいろいろ種類がある。

 ①肛門周囲炎。肛門付近にデキモノができて膿をもち、やがて痔瘻(じろう)になることが多い。

 ②切れ痔。肛門が縦に切れて裂創ができ、血が出る。排便時やそのあとで痛む。

 ③痔瘻(穴痔)。肛門の周囲の奥の深部に梅干しの核のような固いシコリができ、これが膿んで小さな穴があく。ひどくなると、孔が直腸に通ずることもある。

 ④痔核(いぼ痔)。肛門の入口または内部にイボのようなものができたもの。

 ⑤脱肛。内痔核が出てきたり、肛門がひっくりかえって出てきたもの。

 直接的には、肛門周囲のうっ血による血行不良や便秘であるが、基本的には、食生活の間違いと、力学的ひずみである。

 痔になる人は、一般に食い過ぎていて、酸性食過剰である。どんなにアルカリ性食品でも食い過ぎれば不完全燃焼により体液は酸性化する。そうすると、血液の粘度が上がるから血流が悪くなる。

 前に歩いて行く人の靴のかかとを見て、外側がすり減っていれば痔の悪いスタイルである。「あなたは痔が悪いでしょう?」と聞けばたいてい当たる。足の小指側に力がかかっていると、足の親指の力は弱くなり、腰の力が抜けて肛門が締まらなくなる。つまり肛門の括約筋の拡大・収縮作用が衰えて、血行が悪くなるわけだ。

 一般に右短脚型、右ねじれ型に多い。

 痔の手術をしても完治しない場合が多いが、手術しなくても完治する。手術をするなんて、ほんとにバカバカしい。

 飲食は、陽性アルカリ食の少量にすることが第一の治療である。

 本命は力学的ひずみを修正すること。内臓強化体操と便秘を治す体操をして原因のところで述べた”痔の悪いスタイル”を改善する。頭と肘で立つ逆立ち(『医者いらず体操法』154ページ)は抜群の効果がある。

 頭頂にある”百会(ひゃくえ)”という肛門と生殖器の関連部位のツボを刺激し、肛門の血行をよくするからだ。この逆立ちだけで痔の治った人は多い。

 早く治したい人は、断食または半断食(41ページ:「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)をすれば、症状は20日以内で完全に消える。その後、前記の体操をしていただきたい。

 Ⅱ 呼吸器系
  1 喘息・気管支炎 (原因)肉好き、野菜嫌い、左短脚
              (治療)調息集中法、れんこん、黒豆

 喘息では、肺や気管支に分布している迷走神経の刺激で気管支の括約筋にケイレンが起こるため、気管支の内孔が狭くなって空気の出し入れが困難になり、ゼイゼイと呼吸困難を起こす。喘息の発作が起こると、息を吸い込むときに、気管がワクワクしてセキが出るから空気が十分に肺に入りにくくなる。そのために、重くなると顔が青くなり、冷汗を出し、非常に苦しそうな表情をする。

 気管支炎では、急性は熱が出るが、肺炎の様な高熱は出ない。慢性は熱がない。のどからだんだんと気管支の方へ炎症が浸潤していくので、なかには気管支のケイレンを起こしてゼイゼイいって喘息を起こす人もいる。

 百日ゼキ、カゼなどにより続発し、気管の方からだんだん肺の方へ進行していく。

 精神身体医学では「喘息は母親(または母親のような人)から離れる恐れからか、あるいは母親の過保護により起きる」といっているが、感情の軋轢(あつれき)、矛盾の抑圧が原因になる。

 小児喘息では、母親と離別したり、弟妹が生まれて、いままで独占していた母親の愛撫が弟妹に向かうと発作を起こしはじめる子供が多い。最近は、逆に息苦しくなるような親の過保護が子供を喘息にすることが多くなってきた。

 喘息が持病の人は、不平をいったり、一人で悲しんだりしても、気の優しい、ほとんど激怒することのない人が多い。

 喘息持ちの人は、圧倒的に肉が好きで、野菜の嫌いな人に多い。また白米・白砂糖の過食の人もある。これらは酸性だから、血液の粘度を上げ、血液の循環を悪くする。それによる胸の血行不良を何とかよくしようとする自然良能作用がセキであって、セキが悪いのではないから、セキ止めの薬を飲んでセキだけ止めても、胸のうっ血はそのままである。根本治療にはならない。

 なお動物性蛋白でできたタンは黄色で、粘って切れにくい。白米・白砂糖でできたタンは白色である。鼻汁も同じ。

 また「喘息や気管支炎と聞いたら、左短脚と思え」といいたいほど、その確率は高い。一般に呼吸器系の病気の人は左短脚型だからである。そして一般に左にねじれ逆重心型のために腰の力が抜けて上半身に力が入っている。また、腎臓の機能低下も喘息の原因となっている。

 呼吸器の病気だから、呼吸法の調息集中法は絶対必須科目である。吹奏楽や声楽、あるいはマラソンで喘息を治した子供が非常に多いのも。それ自体が立派な腹式呼吸であるからである。調息集中法で心を安定させるのと同時に腹式呼吸の訓練をする。

 第二に、飲食は、肉類をはじめ、卵、牛乳などの動物性蛋白を一切やめる。そして植物性の蛋白に切り換え、玄米・菜食にする。

 ただしサツマイモはセキをひどくすることがある。一般に炭水化物のとりすぎは、セキを出やすくする。これはビタミンB2の不足によるものと考えられている。

 れんこん・黒豆はセキの薬。れんこんには動物性のタンを切ったり、溶かす効果がある。玉ねぎ、人参、コンフリー、黒ゴマ、セロリー、ほうれん草、ごぼう、かぼちゃ、春菊などが有効。陽性アルカリ食がよい。

 補助健康食品の”ハイレーベン”(83ページ:「肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照)はとくに効く。宿便排出健康食品”グルトール(現ヨーグルゲン)”で喘息が治った人もある。

 第三に、力学的ひずみ修正体操をして、原因のところで述べた”呼吸器病スタイル”左短脚型を改善する。

 補助健康器のデミガー(59ページ:「病気は治るのが当然、手遅れ・体質・遺伝はない」参照)は非常に効く。

 前に述べた喘息・セキを治す体操は、抜群の効果がある。

 喘息は分泌物の異常によって、それが刺激となって気管支をケイレンさせている。その原因としては、神経系、ホルモン系、代謝系その他の異常に求めることができる。

 セキそのものは病気ではなく、セキをすることによって胸の血行を良くしようとする異常回復運動である。

 つまり、セキや喘息の起こる理由は、胸部から上がうっ血していて、肺にいく呼吸量が少ないか、または肺から出にくくなるからである。

 したがって、首・胸部の萎縮とうっ血をとり、腰腹部に力を集めるために、胸を拡げ、首を伸ばし、腸骨を拡げ、側腹部を伸ばし、手足の筋肉をやわらげる体操が中心となる。

 この体操は、迷走神経の働きを促進し、交感神経の異常興奮を抑制するのによい効果を与えようとするものである。また腹部から胸部にかけてのうっ血を取り、その結果、肺と心臓の働きを促進し、強化する。

 Ⅲ 循環器系
  1 心臓病 (原因)白砂糖の過食、肝臓・腎臓も同時に悪化
        (治療)玄米、菜食、れんこん

 心臓病にもいろいろの種類があるが、共通していえる症状は、急いで歩いたり、階段や坂を上がったり、少し重いものをもって歩くと息切れがする、動悸がする、足の甲や下腿部がムクミ、顔色が青く、まぶたが腫れたり、脈が速くなったり遅くなったり、あるいはちょっと止まったりする、心臓が悪くて左肩がこる場合がある、手の小指のつけ根の外側に圧痛がある――。

 心臓病といっても種類によってかなり異なるので、代表として狭心症の場合について述べると、冠状動脈が硬化して、その内孔が狭くなったり、石灰や脂肪がくっついている状態である。そこで血行障害を起こし、心臓にケイレンが起こって、時々激痛を発し、いわゆる狭心症発作が起こる。発作が起こると左胸部に耐えきれない激痛が起こって非常に苦悶する。その痛みの激しい時には、左肩から手まで放散して息苦しくなり、心臓性の喘息発作を起こすことがある。

 狭心症の発作は1~2分間の短時間のこともあるし、20~30分間になることもある。ときには歩いているときに起こり、休むと痛みが止まり、歩くとまた痛み出すというようなこともある。

 この発作は一週間に1回、あるいは数か月に一回になることもあるので一定していない。

 びっくりしたときには、心臓がドキドキすることからわかるように、心臓は精神的な影響を大きく受ける。

 また、心臓病の第一の原因として白砂糖の過食が世界の医学界で広く認められている。

 狭心症で倒れ、病院にかつぎ込まれた人の奥さんが、後日私のところへ相談の電話をかけてきた。私は即座に「甘党ではありませんか?」と聞くと、正にその通り。お汁粉にさらに白砂糖を二杯も入れ、あるいは昼食代わりに、饅頭を6個も食べていたという。これでは、心臓が悪くならないほうが不思議である。

 またある会社の副社長は肉が大好きで、魚も野菜も嫌いであまり食べず、悪いとはわかっちゃいるけど、やめられないという。「あぶなっかしいな、そのうちにやられるぞ」と私は内心思っていたら、それから間もなく心筋梗塞で倒れ、言語障害、記憶喪失を併発した。今や生きているというだけだ。また弁膜症大手術、プラスチックを入れているという人も、よく聞くと大の甘党だった。

 このように心臓病の種類にかかわらず、原因は共通して、酸性食で、かつ強陰性か強陽性なのである。

 心臓発作は直接的には、酸性腐敗便中のチラミンという毒素の体内吸収によって起こる。

 一般に循環器系の病気の人は左短脚型である。だから、心臓病の患者も、私の見てきた限りでは、ほとんどが左短脚型であった。

 また心臓は単独では悪くならず、必ず肝臓ならびに腎臓の機能低下を伴っている。

 治療には、まず、調息集中法(42ページ:「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)で腹圧を高め、かつ交感神経優先型から副交感神経優先型の呼吸に変革する。

 食事は、白砂糖や肉類のような強酸性食品で、かつ強陰性あるいは強陽性食品をやめて、アルカリ性で中庸に近づける。玄米・菜食にする。

おろしれんこんは心臓病の良薬

 カリウムは心臓によくなく、必要なのはカルシウムであるから、それの豊富なもの、海藻、れんこんがよい。生のれんこんの節をおろしたものは昔から心臓の薬として称揚されてきた。

 補助健康食品の”ハイレーベン”(83ページ)は必須。悪玉コレステロールや過酸化脂質の溜まった人が多いから、大豆レシチンやビタミンEも効果がある。

 また、力学的ひずみを必ず伴っているから、修正体操(59ページ、「医者いらず体操法」参照)で治す。

 心臓病となると、なるべく動かないで静かにしているほうがよいと考えている人が多いが、それは逆で、重症は別として、ある程度回復したら、無理しない程度に、運動するほうが回復は早い。そういう意味を含めて、内臓強化体操を少しづつやった方がよい。

  2 高血圧・低血圧 (原因)宿便、左短脚のゆがみ
            (治療)高血圧の人には陰性食品、低血圧の人には陽性食品

 高血圧の場合は、顔がほてり、頭痛・頭重がしたり耳鳴り、めまいがしてふらふらすることがある。首の両側の真中あたりがこった感じがする。眠れないことがある。

 低血圧の場合には、顔が青ざめて、立ちくらみがし、頭痛やめまいがし、非常に眠たがる。

 自分の血圧を知るには血圧計で計るのがもっとも端的だが、逆に血圧計の数字に振り回されても困る。高血圧・低血圧は、結果であって原因ではない。

 体の末端の血流が悪いから、血圧を上げて末端まで血液を送ろうとしているのが高血圧である。

 体温と同様で、36度5分が平熱の人もあれば35度が平熱の人もある。

 だから血圧が200で普通の人も、高血圧のマラソン選手もおり、問題は前に述べた現象があるかないかである。

 この前兆がなければ、数字を気にすることはないといえよう。

 血圧は心の状態を敏感に反映する。私は経験から自分の現在の心の状態から血圧をプラスマイナス5パーセント以内の誤差で予測できる。それほど心の影響は大きい。

 また一般に高血圧は陽性、低血圧は陰性体質のせいだから、それぞれ同類の飲食がかたよっているわけだ。宿便の溜まっている場合もかなりある。

 循環器系の病気だから、高血圧でも低血圧でも圧倒的に左短脚型が多い。

「調息集中法を実行したら、たちまち高血圧が正常になりました」という読者からの手紙が多くて、私のほうがびっくりしている。それほど調息集中法(42ページ:「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)には即効性がある。

 しかし、これだけではすぐにあともどりする可能性があるから、毎日の食事を高血圧の人は陰性食品に、低血圧の人は陽性食品に変えたい。

 ひずみ修正体操をして、”循環器病スタイル”を治すことが必要である。

 内臓強化体操も効果的だ。

 宿便排出は必須条件。高血圧の人は酸性腐敗便の毒素チラミンによる脳卒中を防ぐため、低血圧の人は宿便をとって栄養の吸収をよくしてよい血液を作るためである。

 Ⅳ 器官共通病
  1 結石 (原因)酸性食品の過剰摂取、内臓血行不良
       (治療)ハイレーベン、アルカリ性食品、内臓強化体操

 器官共通病ということは全身病ということだ。酸性食品の過剰摂取が主な原因である。その代表的なものが結石とガンである。

 胆石、腎石、膀胱石、尿道石などがあるが、その症状はいずれもそれぞれの臓器が痛み、血尿の出ることがある。結石の体質の人はガンになる危険性がある。

 痛みがひどくなると七転八倒し、この世の最大の苦しみでどこが痛むのか分からなくなることが多い。時には、吐いたり、黄疸を起こしたり、血尿が出たり、尿が止まったりする。

 手術や最近開発された衝撃波による結石破砕療法(100万以上かかる)をやる人の気が知れない。

 原因が酸毒症なのだから、酸性病の特効薬”ハイレーベン”(83ページ:「※肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照)を飲めば、即刻入院手術を宣告された結石患者でも、翌日には痛みが止まってしまう。これで何人、指導したかわからない。全員成功である。人間医学社のデータでは、”フノリ”を煎じて飲み、痛みが止まった例もあるという。

 この方法で、結石は溶けてしまう。したがって、あとで医者に行って診断してもらうと、「石がない。どこへ行ったのか、不思議だ」というのが医者の言い分である。

 医者は結石は体外に転げ出る以外に道はないと思っている。発想の転換がどうしてできないのだろうか。

 痛みが止まっても、治ったわけではない。非常に再発しやすいので醸造酢を飲み、かつ徹底的に、酸性食品をやめて、アルカリ性食品にする。内臓の血行が悪いために結石になったのだから、内臓強化体操は必須条件。

 また結石のできるような人は、必ず体がゆがんでいるから、ひずみ修正体操(59ページ:「病気は治るのが当然、手遅れ・体質・遺伝はない」参照)をやって、ゆがみを正しておくことも忘れずに。

  2 ガン (原因)ストレス、肉・白砂糖の過剰摂取
         (治療)断食などで毒抜き

 ガンにはいろいろな種類がある。肺ガン、胃ガン、直腸ガン、膵臓ガン、肝臓ガン、喉頭ガン、膀胱ガン、子宮ガン、皮膚ガンなどがその代表であるが、症状はそれぞれのガンによって異なっていても、基本的原因と基本的治し方は同じである。

 ただ体の弱いところに出るから、それによって場所が異なるだけである。つまり、つまりガンは典型的全身病、血液病なのである。

 前兆がないのがガンの特徴である。風邪もひかなければ、下痢もしない。丈夫そのものという人に多い。異常を感知できないほどに、神経がマヒしているわけだ。

 良く風邪を引いたり、下痢したり、あっちが痛い、こっちの具合が悪い、と文句(不調)ばかりいっている人でガンになった人を私は知らない。

 初期にはいずれのガンも症状らしきものはない。したがって”早期発見早期治療”と現代医療ではいうが、前述のように神経マヒだから症状はなく、発見にはX線などの機器に頼らなければならないのである。

 かなりガンが進行してくると、それぞれの臓器に特有な症状が出てくる。

 たとえば、肺ガンでは、セキが出たり熱が出る。胃ガンでは、食後胃が痛くなったり、胃の膨満感がある。吐いたり胃部を押さえるとシコリがある。直腸ガンでは、出血便がある。乳ガンではシコリができる、などである。

 しかし、大部分は激痛があったりして病院で検査したら、かなりの重症のガンだったというケースが多い。

 ガンになる人はものすごくガンコである。外見はおだやかにみえても、内心は他人のいうことを聞かず、あるいは心の葛藤に悩む人にガンが非常に多い。また攻撃的で、情緒に欠け、愛情に飢えた子供時代を送った人にも多い。あるいは孤独で抑うつ度の高い人に多い。

 なぜか――。ストレス状態にあると、体の免疫力が弱められ、ガン監視機構である白血球の働きが衰え、ガン細胞を攻撃するNK(ナチュラル・キラー)細胞が減少してしまうことが米国マイアミ大学ハーバード大学などでの最新の研究でわかってきた。

 また食生活では食べすぎの傾向に人に多い。そういう酸性食過剰で、勝つ肉類などの強陽性食過剰か、あるいは白砂糖などの強陰性食過剰である。

 現在は、アルカリ食で陰陽のバランスをとり、少食にして改善したとしても、過去の食生活はすぐには帳消しにならず、毒物として体内に蓄積されているはず。

 合成化学調味料、合成食品添加物、残留加工薬品、残留農薬・肥料などの化学薬品は酸性の部類に入るが、たとえ厚生省(当時)から許可されているものでも、発ガン物質となる可能性がある。

 また、タバコ、排気ガスは食品ではないが、肺から体内に吸収される強酸性物質である。一般に合成化学薬品、タバコ(ベンツピレン、タールなど)、排気ガスの発ガン性はフリー・ラジカル活性化作用であると私は考えている。

 それは電子のスピンが同じ方向を向いている酸素にフリー・ラジカルは捕獲される、ガンは嫌気性(酸素を嫌う)の病気だからである。

     ※ガンになる人は心も体もかたい

ガンになる人は、みんな体が非常にかたい。一般に心のかたさと体のかたさは比例している。体がかたいと、当然、うっ血や血行不良となるのだから、生成した微小なガンを自然治癒できなくなる。

 またガンになる人は、体の左右の偏りやねじれがひどくアンバランスである。一般に左短脚型は肺ガンになりやすく、右短脚型は胃ガンや膵臓ガンになりやすい。しかしタバコや排気ガスによる肺ガンはいずれのタイプでもなる。また例外もある。

 ガンはエネルギー過剰でなるのだから、運動不足の人に多い。

 そして、ガン患者は毒のかたまりのようなものだ。宿便はもちろん、その他、中性脂肪あるいはコレステロールなどの固体老廃物、液体性あるいは気体性老廃物をいっぱい溜め込んでいる。その毒がガンの栄養となり、太らせていく。

 これらの原因からわかるように、これらの原因をそのままにしていて、薬や放射線や手術で治るわけがなかろう。もしこれらの治療法でガンが治ったとすれば、患者がそれを契機として、原因にあげた生活条件を変えたからであろう。

 ガンは”早期発見早期治療”というが、早期ではガンなのかどうかわからない。そして一般にガン、とくに肺ガン、直腸ガン、喉頭ガン、肝臓ガンなどは不治の病とされている。患者はガンと知っただけで「ああ、もうダメだ」と精神的に病が進行するので、医者はガンとはなかなか本人にいってくれないわけだ。

 東洋医学でも、ガンが治せないのは、前述の原因を取り除かないからだ。

 しかし、われわれの仲間の世界では、ガンはスイスイ治っている。それは、前述の原因の除去を徹底的にやるからだ。そうすれば、治そうとしなくても、ガンは自然に治らざるを得ない。

 そこで、ガンを治すのに必要なことの第一は毒抜きである。

 毒抜きの方法にもいろいろあるが、ガンのような重病では、断食または半断食をすることだ。これでエネルギー過剰も解消し、ガンへの栄養を断つわけだ。

 さらに断食すると、ガン細胞は健全な細胞よりも弱いから、先に消滅していく。

 断食には復食が大切で、これをしっかりやらないと、再びガンに栄養を与えることになる。したがって、玄米・菜食にし、蛋白質は植物性にする。

 徹底的にアルカリ性食にして、陽性ガンの人は陰性食を、陰性ガンの人は陽性食を中心にする。陽性ガンの人には醸造酢もよい。

 最近は、肉食過剰の陽性ガンが多い。そういう人には、血液を浄化する方法がよく、多少間違っても玄米・菜食を実行すればよくなる。

 いっぽう陰性ガンの人は清浄な血液をつくり、それを増やすことが大切で、間違った玄米食をしていたら、治らなくなってしまう。

 玄米・ハト麦には制ガン効果があるので、健康な人も予防の意味でも玄米食を中心にすることをすすめる。

 ガンは典型的酸性病だから補助健康食品として”ハイレーベン”(第3章 ゆがみを正せば慢性病は治せる Ⅰ消化器系 ②肝臓病「肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照)は欠かせない。

 力学的ひずみは必ず修正体操(「医者いらず体操法」)で正しておこう。さらに柔軟化体操(「医者いらず体操法」)をスイスイできるようにし、体と心をやわらかくする。また内臓強化体操も行いたい。

 以上のことに加えて調息集中法(第2章 慢性病は自力で治すしかない、「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)を行い、酸素を十分に供給して、精神的ストレスを取り除く。

 また自己中心的なものの考え方を捨てて、徹底的に他のために尽くす奉仕の人生を心がけ、かつ自分で生きているのではなく、他人や動植物の犠牲において食を与えられている感謝の気持ちで生活することだ。

 薬用としては、サルノコシカケ、とくに「古梅霊芝(れいし)」でガンが治ったという人もある。

 また補助としては、ビワの葉エキスの温湿布(背中と患部にする)またはそれを用いるデミガー療器(第2章 慢性病は自力で治すしかない 「病気は治るのが当然、手遅れ・体質・遺伝はない」参照)でガンを治した人は多い。

 以上のことをすべて実行するのがベストで、医者に見放されたガンでも短期間のうちに治ってしまう。私にいわせれば治らざるを得ない。

 制ガン剤、放射線、手術以外にガンを治す方法はないと考えている人のためにガン治療で実績をあげ、世に認められている例として次の二冊の本を参照されたい。

『私たちはこうしてガンに克った』徳間書店

ガンQ&A』ラジオ技術社

 また、次の健康食品は最近開発されたものだが、ガンに驚異的効果が認められて、医者に見放されたガン患者でも治った例がかなりある。

 〇タヒボ茶(日本タヒボ流通、東京都荒川区南千住3-12-16 セントラルヒルズ302)

 〇コーヨー核酸(向洋、東京都新宿区西新宿3-7-28 宝幸西新宿ビル)

 〇ケアミン(竜健、東京都台東区根岸3-6-1)

 〇SOD様作用食品(大恵、静岡市鷹匠1-4-1)

 これらはそれぞれ作用機構が異なるので、併用をお奨めする。

 薬、放射線、手術という非合理的療法でいためつけられたガン患者はどんな方法でも治癒率がきわめて低いのは当然である。

 Ⅴ 耳鼻系
  1 蓄膿症 (原因)過食、酸性食品の過剰摂取
        (治療)主食を玄米にして小食に

 鼻がつまり、粘性のある黄色い鼻水が多くなり鼻血が出たり、頭痛がしたりする。また副鼻腔に膿が溜まる。

 重くなると、記憶力が減退し、視力・張力にも影響し、まれには神経衰弱のような症状になる。

 食べ過ぎ、酸性食品の過剰摂取も蓄膿症の原因となる。蓄膿症の人には甘党で甘い菓子やコーラ、ジュースが好きな人が多い。そのうえ、肉類のような強酸性のものを食べていたらたまらない。

 また、”食べないとエネルギーが足りなくなる”という間違った常識にとらわれて、三度三度よく食べる、その上間食する。二食や少食で蓄膿症という人には私はまだ出会ったことがない。

 鼻は東洋医学的には肺系の一部である。したがって蓄膿症は左短脚型が多い。また首が左右どちらかに傾いている。傾いた下側がうっ血するから、はじめは下側に膿が溜まるわけだ。病気が進行すると両側に溜まる。

 鼻の病気は、基本的には腎臓が悪いのだから、腎臓病のところで述べたように、腰と腹の力が抜けているため猫背になり、重心が上がっていて、肩・首に力が入り、その結果鼻が悪くなるのである。

 骨盤の高さに差があるから、首が傾くわけだ。

 一般に化膿はねじれと酸性食が原因だから、蓄膿症の人は首がねじれている。

 運動の選手でも蓄膿症の子がいたから、運動不足は必ずしも要因とはいえないだろう。

 蓄膿症で医者に通い、薬や洗浄で治ったり、手術して完治したという話を私はまだ聞いたことがない。それは原因が先に述べた飲食とひずみにあるからだ。

 まず食事はアルカリ食の少食にする。主食は玄米にする。そして強陰性あるいは強陽性食は避ける。カルシウムの豊富なもの、たとえば海藻、小魚、貝、根菜を多くとる。

 補助健康食品として”ハイレーベン”(第3章 ゆがみを正せば慢性病は治せる Ⅰ消化器系 ②肝臓病「肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照)をとる。

 力学的ひずみは修正体操(『医者いらず体操法』105ページ)をしっかりやって、原因で述べた左右の偏り、ねじれ、骨盤のゆがみ、逆重心を治す。

 また前に述べた耳鼻の故障を治す体操は抜群の効果がある。

 蓄膿症で3年間毎日耳鼻科の医者に通い続けたある中学三年生で陸上長距離選手の荘園が私のところにやってきた。私はひずみ修正体操の個人指導をし、酸性食をやめさせたら、翌日から医者が不要になり、「医者に何といって断ったらよいでしょうか」と母親が相談に来た。私は「治らず、ひどくならず、死なず、が医者として一番儲かってありがたいんですよ。私のように、一回の指導で治ったんでは商売になりませんよ」といってやった。

 なお蓄膿症も毒を一杯溜めているのが原因なので断食は抜群の効果があり、断食三日~一週間で、はげしく鼻水が出て、その後ピタリと治ってしまう。

原崎式健康要語録」 視力が衰えてくるのは尿毒症の前兆である。

【全体食】

 独立生命体、つまり種子、卵、貝。植物の場合は根から葉まで、動物の場合、頭から尾までを一緒に食べること

  2 アレルギー性鼻炎 (原因)精神的ストレスと前屈ゆがみ
             (治療)黒豆、玉ねぎ、バルト

 症状としては比較的粘性の低い鼻水が出て、くしゃみをはげしくする。アレルギーの原因物質として、ダニの死骸、カビ、犬や猫の毛、フケ、花粉などが化学的に認められている。

 しかし、これらを吸収したら、だれでもアレルギーを起こすかというとそうではなく、発病する人と平気な人がいるのだから、根本的原因ではなく、次に述べる根本原因の”引き金”になるだけだ。

 精神的ストレスが原因で、吐く息の弱い交感神経緊張型になっている人が多い。

 食生活においては動物性蛋白質過剰の人に多い。それでいて、陰性体質の人が多い。

 また鼻は呼吸系だから、左短脚型で、左に重心が偏り、左にねじれたタイプの人に圧倒的に多い。そして患者は一般に前屈姿勢である。

 内臓としては腎臓系統、とくに副腎と腎臓の機能が低下している。これは前屈から来ているのかも知れない。

 調息集中法(第2章 慢性病は自力で治すしかない 「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)をやっていると、鼻水もクシャミも止まる。腹圧を高め、腰に力が入って上体の力が抜け、副交感神経型になるからである。

 食事としては酸性食はダメで、陽性食品にした方がよい。玄米を主食に、根菜・海藻・濃緑野菜の煮染めなどを中心に動物性蛋白質をできるだけ減らす。黒豆と玉ねぎには薬効があり、推奨品。体が温まるものの方がよい。したがって果物を多食しないこと。

 力学的ひずみは修正体操(『医者いらず体操法』105ページ)で正す。運動では腹筋運動ばかりやっていると前屈になるから、背筋運動もやり、前後の筋肉の強さのバランスをとる。体を反らせる運動のほうは多い目ぐらいでよい。それは副腎・腎臓の機能低下が鼻炎・花粉症の根本にあるからだ。

 前述の耳・鼻の故障を治す体操(未入力)が効果抜群である。鼻水がひっきりなしに出、クシャミがなかなか止まらないときでも、この体操を正しくやればワン・コースでピタリと治る。

 また薬用としては、最近発売された(当時)”森林のエキス”「バルト」(東京都渋谷区東1-13-4 MATビル203 第二科学研究所)で花粉症を治した人もいる。薬理としては、おそらく副腎の機能を活性化するからであろう。

 漢方薬で有名な「小青竜湯」は、即効性はあるが、根本治療ではなく、また効かない人もある。

 補助健康器としては、デミガー療器が非常に効果がある。とくに首筋と副腎・腎臓部にかけるのがポイントである。

  3 耳鳴り・難聴 (原因)腎臓の機能低下、足腰の弱さ
           (治療)大腿の裏とふくらはぎと首の筋肉を伸長

 耳鳴り・難聴はともに腎臓の機能低下と関係が深い。右側の耳鳴りは右腎臓のうっ血、左側の耳鳴りは左腎臓のうっ血が原因である。

 食べ過ぎも原因の一つである。または酸性食過剰による血行不良また鉄分の不足が原因となるともいわれる。

 一般に、耳鳴り、難聴の人は体がかたく、足腰が弱い。つまり、重心が上がって、上体,特に首に力がかかっている。また首が左右どちらに傾き、ねじれている。一般には、重心の偏った方の耳が悪くなる。

 過食などがうっ血原因の一つになっているから、断食は著効がある。もちろん酸性食はダメだ。鉄分不足には青海苔、ひじき、切り干し大根、キャベツ、ほうれん草などがよい。

 力学的ひずみは修正体操(「医者いらず体操法」105ページ)で正す。その上で、耳鼻を治す体操を行う。

 腎臓病の治し方を参考にされたい。

 耳・鼻の悪い人の共通の体型は、①重心が足のかかとと小指側にかかっている②両足の長さに差がある③足首の関節がかたい④腰に力がない⑤ねじれがある⑥骨盤の左右の開き方に差がある⑦恥骨とあごが前に出て猫背で肩がこりやすい。

 とくに鼻の悪い人は①首がねじれている②体の左右がアンバランスである③食いすぎ、したがって、恥骨を下げる運動と、首のねじれを取る運動を中心に行う必要がある。

 耳鳴り、難聴の原因は、若い人の場合は、悪姿勢、他の病気の影響、薬害などがあり、老人性は、神経の疲れ、耳のまわりの萎縮硬化、内臓とくに腸・脇腹・腎臓に異常のある場合が多い。したがって、足の裏筋肉を伸ばし、首の筋肉を伸ばす運動を行う。

 Ⅵ 眼科系
  1 視力異常(近視、乱視、遠視、斜視) (原因)全身異常
                      (治療)前屈姿勢の矯正

 各々の症状は視力表で容易にわかる。

 目の検査によって内臓の異常を診断する方法は元大阪大学学長の研究によってすでに明らかにされているように、眼の異常は単に眼だけの異常ではない。内臓の異常、筋肉・背骨の異常(ひずみ)、血液・血行の異常、呼吸の異常、心の緊張などで、心身および生活全体の異常である。したがって眼の訓練だけを行っても治らない。

 眼を病むという事は精神的ストレスまでいかなくても、緊張が続くことは視力異常に大きな影響がある。調息集中法を数分間行っただけで、視力が向上することから、これは理解できよう。

 また、食べ過ぎ飲み過ぎるととたんに視力が落ちるが、断食を三日もすれば、だれでも大幅に視力を回復することができる。だから、老廃物が蓄積されて目のまわりがうっ血し、血行を悪くしていることが原因とわかる。

 近視にも陰性の近視と陽性の近視とある。前者は白砂糖、白米、白パン、果物などの過食からなり、後者は肉類、塩分などの過剰からなる。両者とも酸性体質でカルシウムやビタミン不足であることは間違いない。

 力学的ひずみについていえば乱視は悪いほうの肩甲骨が下がっていて、首の傾いている側の眼が悪くなる。

 近視は一般に前屈で、重心の上がった逆重心型の人に多い。近視の強度が左右で異なれば、悪いほうに首が傾いているか倒すかねじりやすい。

 まず呼吸法の調息集中法(第2章 慢性病は自力で治すしかない 「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)を行い、心の緊張をとる。この毎日の訓練によって、四六時中リラックスしている条件反射をつける。

 第二に、飲食はアルカリ食の少食にして、陰性体質の人は陽性食を、陽性体質の人は陰性食品を中心にする。健康補助食品”ハイレーベン”(第3章 ゆがみを正せば慢性病は治せる Ⅰ消化器系 ②肝臓病「肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照)も併用した方がよい。

 第三に、力学的ひずみは修正体操(「医者いらず体操法」105ページ)で治す。日常生活でも前屈姿勢にならないように、また左右いずれかに偏ったり、ねじれ続けないように注意する。乱視はひずみを修正することが必須条件。

 視力異常を治す体操は非常に効果がある。ワン・コースやっただけでも、明るく感じ、しかも視力表検査は必ず向上する。運転免許証更新の際には、是非活用されたい。陽性の人の断食または陰性の人の半断食(第2章の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)は抜群の即効性がある。

  2 白内障緑内障・眼精疲労 (原因)精神的ストレス、酸性食過剰、過食
                 (治療)大量のビタミンEとCの摂取

 白内障は、目の玉の内部の病気で、水晶体が白く濁って、眼底の方へ光が入らないようになり、視力が低下する病気である。

 遠くも近くも、どこでもボーッと見える。しかも強い光が当たると、光が散乱するために、余計に見えない。そのため夕方から夜の方が見えやすいのが特徴だ。

 緑内障は、前兆として、急に眼がかすみ、眼の圧迫感、痛み、ひどい時には吐き気がする。また視野の一部が欠けてくる。

 緑内障は大別して二つあり、一つは続発性で、虹彩炎・ガラス体出血・その他の眼病によって二次的に眼圧亢進(こうしん)を来たす。

 他の一つは原発性で、何ら他の眼疾を認めないで眼圧の亢進を来たす原発性はさらに炎性と単性とに分けられる。

 炎性緑内障は、老人や更年期以降の神経質な婦人に多く見られる。急に進行し、眼が赤く腫れたり、眼が痛み、頭が重い、あるいは頭が痛いなどの刺激性の症状があり、激しい時には、悪心、嘔吐を伴い、視力障害が現れる。

 痛みの中で一番ひどく、七転八倒のこともある。発作が激しい場合には、一晩で失明することもある。

 単性緑内障の場合には、年齢や性別に関係なく、比較的若年者にも起こりやすい。慢性的で、刺激症状がなく、徐々に進行する。ごく初期には目の疲れを訴える。目の前を蚊が飛ぶようなとか、まわりから黒い膜のようなものが片目だけにかぶさってくるような症状が起きたり、夜電灯を見ると、まわりにボーッと虹のカサのようなものが見える。これらは片目だけに起こるので正常な眼がこれらの異常を補ってなかなか気づきにくい。

 相当長い間そのまま経過すると、やがて視野が狭くなったり、視力が落ちたりする。

  眼精疲労の場合には、本を読んだり、細かい仕事をすると、すぐに眼が疲れて眠くなり、少し針仕事をしても肩がこり、頭痛がしたり、胃が悪くなったりするのが主な症状である。

 これらの眼病も精神的ストレスは大きな原因となっている。

 とくに緑内障では驚いたり、ひどく心配したりした後で痛みが出ることからも、精神的ストレスの大きな影響を知ることができよう。

 中でもイライラしたり、怒ったりするのが悪い。

 ストレスが溜まると、大量のビタミンCとEが消費され、これも原因となることが認められている。

「いずれの眼病もすべて肝臓と関係がある」と東洋医学も言っている。つまり肝臓病のところで述べた悪食が、眼病の原因となっている。食べ過ぎ、酸性食過多が大きな原因なのである。

 また一般的に白内障動脈硬化)は比較的陽性で、緑内障は陰性である。

 左右の眼を比べて、片方が他方よりも悪いということは、偏り、ねじれなどの体のひずみを必ず伴っている。

 またこれらの眼病患者は毒のかたまりである。とくに宿便から出る毒を体内に吸収して肝臓を害し、目の奥の血行を悪くしている。

 毒のかたまりだから、陽性の人は断食を、陰性の人は半断食(第2章の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)をすると抜群の効果がある。

 調息集中法(第2章の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)を毎日行って、精神的ストレスを吹き飛ばす。楽天家には緑内障は少ないので心の持ち方を、自己中心型から感謝・奉仕の心に変える。

 食生活は、少食、アルカリ食にし、陰性の人は陽性食を、陽性の人は陰性食を中心として、白砂糖のような強陰性食、肉のような強陽性食を避ける。カルシウムや酵母(レッドボーン、人間医学社:第3章の「Ⅰ 消化器系」の「③腎臓病」参照)を十分にとる。

 また前述のように大量のビタミンCとEの不足も原因であるから、日本茶や生野菜からビタミンCを取り、酸性体質を改善する健康補助食品として”ハイレーベン”(第3章の「Ⅰ 消化器系」の「②肝臓病」の「※肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照)やビタミンEを補いたい。

 力学的ひずみは修正体操(『医者いらず体操法』105ページ)で治す。また、前述の視力異常を治す体操や内臓強化体操も非常に効果がある。失明した人で快方に向かっている人もある。

 補助健康器のデミガー療器(『医者いらず呼吸法』96ページ・本記事の第2章の中の「病気は治るのが当然、手遅れ・体質・遺伝はない」参照)も著効があり、これを用いて多大な成果をあげている眼科医もある。

 肝臓の機能低下が原因だから、肝臓病の治し方(第3章の「Ⅰ 消化器系」の「②肝臓病」)も参照されたい。

 視力異常の直接の原因は、肉体的こりと、精神的緊張による眼球とその関連筋肉の収縮硬化による変形とうっ血である。

 近視には軸性(うっ血)と屈折性(硬化性)の二種類があり、軸性は血液の酸性化とうっ血、屈折性は毛様筋の硬化が原因である。

 乱視は左右の肩の高さ、腕の力の強弱の差によって生ずる。

 斜視は、首のねじれ、頭皮のたるみ、肩甲骨の高低によって生ずる。

 遠視は近視の治し方に準ずるが、老眼は老化現象であるから老化を防ぐことが先決である。

 これらの眼の異常に対して共通して治療に必要なことは、心をリラックスさせることである。また手や肩・首に力が入ると、眼にうっ血が生じて疲れやすいので、とくに手・肩・首の力を抜く体操が中心になっている。

【強陽性食】

肉類、塩気、陸上動物脂肪

 Ⅶ 整形外科系
  1 腰痛・背痛 (原因)腎・肝臓を始め200種類
          (治療)力学的ひずみは修正体操

 腰痛・背通は痛みを訴える病気の中では一番多いもので、原因もわかりにくい。

 主な原因としては①老人性のもの、②脊椎の変位によるもの、③骨盤のゆがみによるもの、④筋肉の病気によるもの、⑤内臓の病気によるもの、⑥ガンによるもの、⑦偏平足によるもの、など200種類もの原因があるといわれている。

 椎間板ヘルニアでは、脊椎の椎間板がカルシウム不足などでつぶれて上下の隣接する骨の一部がくっつくと、そこが痛み、かつ骨が生えてくる。

 現代治療医学では、生えた骨を手術して取り除くが、この脊椎を変位を治し、カルシウムを十分補給しなければ、再発することは容易に理解できよう。

 ギックリ腰では、仙腸関節がずれている人が多くみられる。

 びっくりして腰が立たなくなることがあるが、この事実からわかるように、心の状態も結構、腰痛、背痛に関係があり、とくに交感神経緊張型がいけない。

 椎間板ヘルニアやギックリ腰になる人はみんな肝臓と腎臓が悪い。これは私の統計上の数値が示している。とくに骨を支えている筋肉は肝臓が支配しているのだから、肝臓が悪くなれば骨も骨盤もゆがみやすいわけだ。

 したがって腰痛、背痛の人は一般に酸性食品が好きである。また陰性タイプと陽性タイプと両方ある。

 変形性脊椎症や変形性膝関節症などは、腎臓の機能の低下によるカルシウム不足が一つの原因となっている。

 これが腰痛、背痛の原因としては一番多い。仙腸関節や股関節のずれを原因とみなした療法があるが、それほど単純ではなく、ひずみにもいろいろな種類のものが複合されて原因となる。

 一般に仰向けに寝て、両足のかかとをつけて力を抜いたときに、足が床から60度の角度にあるのが正常だが、腰痛の人は、45度以下、ひどい人は20度ぐらいと、倒れている人が多い。

 この力学的ひずみを作る原因の一つとして日常の動作が大きく関係している。

     ※修正体操をすれば這ってきた人が走って帰れる

 どうして治したらよいのかわからない時は調息集中法(第2章の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)が効く。私も20年以上も前だが、ジョギング中に両膝が痛くなり、電気や湿布療法などの療術師にかかったが一週間経っても治らないのを、調息集中法だけで二日で治したことがある。

 食生活はアルカリ性食でカルシウム豊富なものにし、酸性食をやめる。陰性タイプは陽性食を、陽性タイプは陰性食を中心にする。食事については肝臓病の治し方(「第3章の「Ⅰ消化器系」の②肝臓病」)を参考にされたい。

 力学的ひずみは修正体操(『医者いらず体操法』105ページ)で治す。これでほとんどの腰痛・背痛は治ってしまう。ギックリ腰など、玄関を這(は)って入ってきた人も帰りには走れるようになる。

 椎間板ヘルニアの人は、かなり長く修正体操を続けなければいけない。そして偏った日常動作をしないように注意する。たとえば椎間板ヘルニアの人に、「片一方の足ばかり重心をかけて”休め”の姿勢をしてはいけませんよ」といっても、一分も経たないうちに、またその悪い姿勢をとっている。

 日常動作でわざわざ腰痛・背痛になる努力をしている人が大部分だからご苦労さんである。とくに横座り、横寝、テレビの斜め視聴などしないこと。日常動作の注意の詳細は『医者いらず体操法』(145ページ)を参照されたい。

 前に述べた腰痛・背痛を治す体操は、気分のよくない痛い方向はやらずに、その反対方向だけを行うと、著効がある。また予防にもなる。

 腰痛・背痛には前に述べたようにいろいろの原因があるが、ここでは一般的な腰痛・背痛の治し方として、腰・背を中心とした体操をあげ、正しい姿勢を身につけ、腰・背を強化し、仕事や偏りによって生じた無理を除き、筋肉のこり硬化を取り除き、体操とともに呼吸法で腹圧を高め、血液の循環をよくし、内臓を強化する。

  2 膝関節痛・足痛 (原因)力学的ひずみ
             (治療)修正体操

 原因は力学的ひずみだから修正体操で治す。

 膝痛は腰椎三番を中心としたねじれが原因である。膝自体は無関係。

 足は腰椎二番、仙骨、および骨盤に支配されているので、主にこれらのひずみである。足自体はそれらの土台のために痛むだけで、無関係。

 膝の悪い人は酸性食過剰か過食が多い。

 ①の腰痛・背痛の治し方と同様であるが、膝関節痛の人はねじれ修正を注意して慎重に行うこと。

 私もたまには膝が痛くなることがあるが、修正体操でサーッと治して、10キロ以上快適に走る。

 70歳近い有名な会社の社長が足痛で、夜中に奥さんが起きてさすればならないほどひどく、相談に来た。あらゆる療法を行い、また一週間慶応大学病院に入院して検査したが、どこも悪くないという。

 悪くなくて痛いはずがない。力学的ひずみ修正体操を教えて実行していただいた。その後音沙汰ないので、聞いてみたら、すっかり治ってアメリカに行ってしまったという。

  3 肩こり・首こり (原因)精神的緊張、逆重心のひずみ
            (治療)修正体操

 肩が凝ると首が固くなり、うっ血し、頭部に十分行きわたらなくなって、心理的にも影響し、目・耳・鼻・脳などにも異常が生じ、首を通る自律神経と内臓との連絡も異常になる。

 原因は①精神的緊張、②内臓異常、③血圧異常(とくに高血圧では首の両側がこり、低血圧では肩がこる)、④栄養の過不足、⑤宿便、⑥悪姿勢、⑦筋肉の過労などがある。

 肝臓が悪い場合には右肩がこり、心臓が悪い場合には、左肩がこる。

 腰の力が抜けて重心が上がり、上体に力が入って前屈姿勢になると、肩や首に力が入って上体を支えるので肩や首のこる場合が多い。

 呼吸法の調息集中法(第2章の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)だけで肩こりの治ったという人がかなりある。精神的緊張をとり、腹圧を高めて、重心が下がるからである。

 宿便排出健康食品”ヨーグルゲン”(第2章の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)を飲んで肩こりが治ったい人も多い。

 食事はアルカリ性の少食にして、陰陽のバランスをとること。

 力学的ひずみがある場合には、修正体操で治す。それから、次に述べる肩こり・首のこりを治す体操を実行すれば、ほとんどの場合は治ってしまう。

 内臓が悪いのが原因の場合は、肝臓病、心臓病の治し方を参照されたい。

 肩こり・首のこりの原因は①精神的緊張、②内臓異常、③血圧異常、④栄養の過不足、⑤悪姿勢、⑥筋肉の疲労などである。

 そのためここでは肩、首そのものを柔軟にする動作が中心となっている。また、首と手首、足首は関係しあっているので、手首、足首の柔軟性も重要である。足首が故障すると丹田の力が抜け、肩に力が入り、あごが出たり、首が曲がったりするので、つねに足の親指に力を込め、アキレス腱を伸ばして足首を正常に保つことが必要である。

 また首の曲がりを正すため、首と胸の筋肉の萎縮をとり、柔軟にさせる。そして頭骨の下垂からくる首の曲がりを治すために、縫合部を締めるような刺激も加える。

  4 交通事故障害(ムチ打ち症)・ケガ後遺症 (原因)力学的ひずみ
                        (治療)肩こり・首こりを治す体操

 ムチ打ち症では、寝ていて起きようとすると、天井がグルグル回って、体の平衡がとれず起きられない。

 その他、肩痛、腰痛、背痛、足痛、手痛などを起こす。

 原因は100パーセント力学的ひずみである。数年たって後遺症が出る場合は、酸性食過剰で、かつ日常の動作が間違っていて、ひずみを強調しているせいである。

 精神的ショックをかなり受けているので、呼吸法の調息集中法(第2章の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」の【調息集中法】参照)から始める。

 食事はアルカリ性の少食にするのがよいが、事故直後からただちに断食をすると、治りが非常に早い。もちろん、宿便を出すこと。

 力学的ひずみを治すのには、消極的修正体操(『医者いらず体操法』の「消極的修正体操」参照)から、徐々にはじめる。

 徹底的に痛さから逃げるように左右方向で痛い反対側だけ行う。もっとも気分の悪い方向の逆、あるいはいやな痛い方向の真反対をやると、抜群に効く。

 ある程度ひずみが回復したところで、積極的修正体操を行う。

 つぎに好ましくは、今まで出ているすべての体操、とくに腰痛・背痛を治す体操、肩こり・首のこりを治す体操を各一回ずつでよいからやってみて、左右の差を調べ、左右の差の大きい体操または、痛みを感ずる体操だけピックアップして行う。

 交通事故やケガは基本的に腰を先にやられて、ひずみが全身に分布しているから、全身のひずみを取り除いておかないと、後遺症が出る。日常動作にも注意されたい。

 私は三回交通事故でやられているが、いずれも、普通考えられる治癒機関の約10分の1で、以上述べた方法によって自力で治した。

 それを活かして多くの障害者を指導し、医者がびっくりする成果をあげてきて。交通事故傷害の治し方については、改めて稿を起こしたいと考えている。

レシチン

 大豆、卵黄、植物食

 Ⅷ 産婦人科系・生殖器
  1 生理異常 (原因)過食、酸性食、ねじれ、ゆがみ
         (治療)調息集中法、アルカリ食、ひずみ修正

 生理時またはその直前に関係のある部位に緊張感や敏感性を感じたり、乳房が大きくなったり体重が増加する。

 多くの人はこの期間中に食欲が異常になったり、眠くなったり、イライラしたりする。これらが自分で苦しくない程度なら、正常に近いと考えてよい。

 生理異常はその期間だけなので見逃しやすいが、異常が続くと他の病気の原因になりやすいので、早めに治すことが大切である。

 生理期間が比較的短い人は陽性、長い人、遅れがちの人は陰性である。鼻の下の部位(生殖器を表す)にホクロやシミがあったり、ヒゲの生えている人は下腹部にも悪血がある。

 感情の混乱から生理異常が生じやすい。

 また食事は過食、酸性食、陰性または陽性いずれかへの偏りが多い。

 腰のねじれのある人、横座りなどによる骨盤のゆがみ、重心の左右への偏り、逆重心の人が多い。

 また足腰が弱く、足の外側に力がかかっているので、足の親指が弱く、したがって臀部や腰の力が抜けた人が多い。

 しかも便秘症あるいは宿便が溜まっている。また東洋医学的には婦人病は悪血が溜まっているとみられている。

 感情の混乱を取り去るために、調息集中法(第2章の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」の【調息集中法】参照)を行う。

 食事はアルカリ性の少食にし、陰性タイプの人は白砂糖あるいは果物などの陰性食を止めて、根菜、海藻、玄米などの陽性食にする。陽性タイプの人は肉類や塩・油気の多いものをやめて、豆製品やサラダにする。

 宿便排出健康食品”ヨーグルゲン”(第2章の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)などを飲んで宿便を取り除く。重症の人で、陽性タイプの人は断食を、陰性タイプの人は半断食(第2章の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)を行う。補助健康食品”ハイレーベン”(第3章 ゆがみを正せば慢性病は治せる Ⅰ消化器系 ②肝臓病「肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照)は是非とりたい。力学的ひずみは修正体操(「医者いらず体操法」105ページ)で治す。

 また生理異常を治す体操を行う。

 この体操は次のことを修正するように構成されている。①腰のねじれ、②骨盤の開閉力の異常、③下肢部のうっ血、④便秘症、⑤臀部のたるみ。なお、生理異常の人は腹力や足の力が弱いので、足、腰を鍛えることが大切である。

【ひずみ体型による異常例と修正法】

体型

異常例

修正法

一方の肩と下あごが凝る。

片頭痛、消化器系(便秘または下痢

など)を起こしやすい。

腰椎二番に刺激を与え、手

と腰の異常を治す。

一方の肩と反対側の首筋肉が凝る。

落ち着きがない。陰気、不安、一言居士。

炎症、化膿性疾患を起こしやすい。

風邪、いびき(首と腰のねじれ)、月経異常、つわり、流産(腰のねじれ)になりやすい。

腰椎三番に刺激を与え、首と足首の異常を治す。

決断力、動作が遅い。

肥満、イエスマン(骨盤開)、痩せている,頑固(骨盤閉)。

後頭痛、月経異常、つわり、流産になりやすい。

腰椎四番に刺激を与え、骨

盤の異常を治す。

短気、興奮しやすい。

腰椎一番に刺激を与え、首

と腹の異常を治す。

両肩と上あごが凝る。

心配性。

肺炎、前頭痛、風邪を引きやすい。

腰椎一番、五番に刺激を与

え、肩と恥骨の異常を治す。

  2 子宮筋腫 (原因)悪血、力学的ひずみ
         (治療)調息集中法、アルカリ食

 月経が異常に多くなったり、長くなったり、月経時以外にときどき出血する。

 次第に大きくなると、腸や膀胱、血管などを圧迫するから、排尿、便通に異常が起こり、足が痛んだり、むくみを生ずる。

 原因は精神的ストレス、とくに性的不満からくる場合がある。したがって独身の人に意外に多い。

 そして、酸性食過剰の人が圧倒的に多い。膨張性の病気だから、体質的には陰性タイプが多く、強陰性の甘いものや果物の好きな人、それでいて強酸性の肉類も好きな人が多い。また陽性もある。

 体はみんな重心の左右いずれかへの偏り、腰のねじれ、あるいは骨盤のゆがみが非常に大きい。

 しかも、宿便が溜まっている。悪血、あるいは便秘も原因している。

 子宮筋腫は手術で取り除いたが、やがて乳ガンになったという人があるように、子宮筋腫の人はガン体質と一脈通ずるところがある。

 調息集中法(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」の【調息集中法】参照)で精神的ストレスを取り除く。

 食事は徹底的に、アルカリ性食、少食にする。白砂糖、果物などの陰性食品をやめて、玄米、根菜、海藻、豆製品などの陽性食にする。

 力学的ひずみは修正体操(『医者いらず体操法』105ページ)で治す。さらに柔軟化体操(『医者いらず体操法』154ページ)や生理異常を治す体操を行う。

 宿便排出健康食品”ヨーグルゲン”(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)、補助健康食品”ハイレーベン”(第3章 ゆがみを正せば慢性病は治せる Ⅰ消化器系 ②肝臓病「肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照)の飲用は必須条件。重症の人は断食または半断食(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)。

 手術は不要。手術をしても他に形を変えて病気が出てくるからだ。

【陽性タイプ】

 肉食党、塩分党、油加工食党に多い。

  3 不感症・インポテンツ・早漏 (原因)力学的ひずみ、過食、陰性食
                  (治療)調息集中法、修正体操、少食

「セックスは脳で行われる」といわれるように、精神的影響がきわめて大きい。

 食べ過ぎの糖尿病患者にこの症状が多いことからわかるように、食べ過ぎは大きな原因となる。酸性食もダメ。陰性食も大きな原因となる。

 不感症、インポテンツの人は一般に足腰の力が弱く、足の親指の力が抜けている。逆重心型に多い。したがってべた座りから寝て足首をもって起き上がれる腹筋運動ができない人が多い。

 早漏の人は、腰椎三番を中心としたねじれ型である。

”マラソンインポ”つまりマラソンをやりすぎると、不感症やインポになる場合もあるといわれているが、私にはその経験がないし、「本当かな?」と思う。

 調息集中法(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」の【調息集中法】参照)を毎日30分以上、朝夕行う。これでご老人でも、大勢の人が治っている。腹式呼吸生殖器の血行をよくし、精神的緊張を解くからである。

 食事は少食、アルカリ性食で、陰性食をやめて、玄米、根菜、海藻、豆類、濃緑葉菜、小魚、貝などにする。

 力学的ひずみは修正体操(『医者いらず体操法』105ページ)で治す。また生理異常を治す体操はセックス強化体操でもあるから実行する。

 宿便排出健康食品”ヨーグルゲン”(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)は、全身の血行活力を増し、ひいてはこれらの病気に著効がある。

 Ⅸ 神経系
  1 不眠症 (原因)感情のいら立ち、内臓異常
        (治療)玉ねぎ、治療体操

 全く眠れないということは、元来ありえないことで、不眠症とは、浅い眠りしかできないことへのこだわりが原因である。

 深い眠りは大脳の新・旧皮質が活動を休めている状態で、眠れないのは、これを邪魔する刺激、条件が心身や生活の中にあるということだ。

 旧皮質は欲望・本能・感情の根源で、内臓とも関係しているので、感情がいら立っていたり、内臓に異常があると、それに刺激されて興奮緊張するためによく眠れないのである。

 大小便が溜まっていたり、胃の中に食物が入っていたり、筋肉がこっていたり、部分疲労があったり、血行の不順があっても、それらが刺激になって眠れない。

 早くよく眠るためには筋肉がゆるみ、呼吸が静かになり、副交感神経にバトンタッチされることが必要である。

 したがって調息集中法(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」の【調息集中法】参照)の変形(集中を除く)を寝る前に必ず行うとよい。これによって副交感神経にバトンが渡されるというわけである。

 食べ過ぎ飲み過ぎをしないこと。少食にして、カルシウムの泥棒である酸性食をやめ、カルシウム豊富な食事にする。

 夕食から寝るまでの時間を長くとり、胃を空にして寝る。夜食などもってのほかである。

 寝る前になるべく排便しておく。

 力学的ひずみの修正体操(『医者いらず体操法』105ページ)をしておく。

 また、床(とこ)に寝て枕をはずし、仰向けに寝る。

 不眠症を治す体操を毎日行う。

 なお生の玉ねぎは不眠症に効果がある。スライスにして醸造酢と植物油と純正醤油で味つけをするとおいしい。

 運動不足で「眠れない」という人があるが、そういう人は寝る必要がないのだ。「起きて仕事をしなさい」ということなのである。

 なお、寝起きの悪い人は陰性体質である。

 不眠治療体操は肩・首,上背部、胸、みぞおちの緊張をほぐし、骨盤をゆるめる方法である。

  2 頭痛・頭重 (原因)過飲、過食
          (治療)調息集中法、少食のアルカリ食

 これは多くの場合、首のうっ血やひずみ、頭蓋骨の下垂から起こるが、内臓の故障から起こる場合もあり、それぞれの関連頭部が痛む。

 また脳は休息時に呼吸で吸った酸素の四分の一を消費するので、酸素が不足すると頭痛・頭重を起こす。その典型は酒類の飲み過ぎである。

 少食の人で頭痛は聞いたことがなく、食べ過ぎも原因となる。

 力学的ひずみは、首や頭の血行を悪くするから、頭痛・頭重の原因となる。

 便秘していたり、宿便のためになる人もある。

 調息集中法(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」の【調息集中法】参照)は酸素を十分に供給するので頭痛を治すために絶大な効果がある。

 食事は少食のアルカリ性食にする。酸性食は酸素をたくさん要求するのでやめる。一般に陰性の人の方が陽性の人より頭痛や頭重を訴えるので、陰性の人は特に陽性食を心がけよう。

 力学的ひずみは修正体操修正体操(『医者いらず体操法』105ページ)で治す。つぎの頭痛・頭重を治す体操は著効があり、頭も冴える。

 宿便排出健康食品”ヨーグルゲン”(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)を飲み、重症の人は断食か半断食(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)をする。

 頭痛には、脳自体に異常がある場合と、脳以外に原因がある場合に大別できるが、以下の体操(後述)は脳以外に原因のある場合のものである。

 一番多い原因は、首のこりとゆがみ、頭蓋骨の下垂からくるものである。

 偏頭痛は、体のゆがみや痛む部分と関連した内臓の異常からくる。頭痛・頭重は、直接的には、脳血管の異常緊張から起こるので、それを起こしている原因の姿勢のゆがみ・宿便・内臓の異常・心理的原因(心の混乱)・飲食の間違いを正す必要がある。

 ここでは、肩・首の緊張・こりをほぐし、頭蓋骨のたるみを締め、下垂を正す方法を中心に組んである。

 脳と腹部との関係を示すと、前頭部は胃、肝臓、心臓と、頭頂部は肛門、生殖器と、側頭部は腸と、後頭部は腎臓と、関連が深い。

  3 リウマチ (原因)甘党、運動不足
         (治療)断食または半断食

 関節リウマチには急性と慢性とがあり、膝関節に来るものと、足、手、肩、指の関節に来る多発性とがある。結核性、淋毒性、梅毒性もある。

 筋肉リウマチは肩の筋肉に来ることが多く、そのほか、腰、手足の筋肉が痛み、歩く時だけ痛むのや、押すと痛んだり、仕事をしているときは痛まないが寝て目が覚めると痛んだり、冷えると痛んだり、天候不順などによって痛む状況が異なる。

 酸性かつ陰性病である。つまり飲食の間違いが原因で甘党に多い。だから炊いて腎臓をやられている。

 みんな体が力学的にゆがんでいる。運動不足である。

 毒のかたまりで、気体性、液体性、固体性すべての毒が溜まっている。

 断食または半断食(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)で治すのがベストである。

 宿便排出健康食品”ヨーグルゲン”(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)を飲み、ひずみ修正体操(第2章の中の「治病はあらゆる学問分野の総力戦だ」を参照)を行い、少食、アルカリ性食・陽性食にし、酸性食・陰性食をやめ、ラドン風呂(第2章の中の「病気は治るのが当然、手遅れ・体質・遺伝はない」を参照)に入って、調息集中法(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」の【調息集中法】参照)を行う。私の指導によりわずか一週間で両手が肩までしか上がらなかったリウマチ患者が治った例がある。

 また私の恩師、故沖正弘先生の指導により、リウマチ専門医師の奥さんで7年間リウマチで手が動かなかった人が、わずか10日で治った人がいる。

 患者のご主人のリウマチ専門医は治った理由として次のことをあげている。

 ①リウマチは動かしてはいけないものと考えていたが、動きまわり、動かしたからこそ動くようになった。

 ②リウマチは冷やしてはいけないと思っていたが、冬でも体をできるだけ動かした後に水風呂に入れた。これは冷やすのではなく、体の内側から温める力を呼び起こしているのだ。

 ③病院ではすべて薬で解決しようとするが、長年の薬漬けの薬害のために治ろうとしても治れなくなってしまった。その毒抜きの方法を知らなかった。

 朝早く起きて一日中いろいろ体を動かし、汗や便にして出してしまう。それでも毒が抜けない人は断食させるから毒が抜けないはずはない。

 現代医学のリウマチ専門医も自分の奥さんのリウマチが治せず、はるかに合理的な療法に対して完全に脱帽したのであった。

  4 神経痛・痛風 (原因)力学的ひずみ・肉食過剰
           (治療)修正体操、アルカリ食

 坐骨神経痛では、尻から膝、すねの後ろ側に沿って嫌な痛みがある。

 顔面神経痛では、発作的に痛むことが多く、額から眼の上下、鼻の下、上あご、下あごのあたりなど三叉神経の三本の枝のいずれかが痛む。

 肋間神経痛では、胸のあばら骨のところが痛み、ひどい時には息ができないほどである。痛む部位が移り変わって、背中が痛むとその翌日は脇の下が痛いという風になるものと、一定の部位が痛むのとがある。

 痛風は長脚側の親指が痛む。神経痛は体の力学的ひずみによるものが大部分である。

 痛風は肉食過剰、動物性蛋白過剰。重心が左右いずれかに偏っている。

 坐骨神経痛、肋間神経痛は腰痛・背痛の治し方と同じ。顔面神経痛は肩こり・首のこりの治し方、および頭痛・頭重の治し方と同じ。

 痛風は、酸性・陽性食をやめ、アルカリ性・陰性食にし、力学的ひずみの修正体操をする。

  5 ノイローゼ (原因)精神的ストレス
          (治療)調息集中法、陽性アルカリ食
 不眠、食欲減退、頭痛、神経過敏、怒りっぽく、飽きっぽく、極端に狂喜したり失望落胆したり、憂うつ、煩悶、想像が高じて取り越し苦労したり、夜は次々と想像を浮かべて眠れないのがノイローゼである。

 原因は精神的ストレス、自己中心的なものの考え方などが考えられる。

 また呼吸が交感神経型で、息を吐くことがうまくできていない。

 いっぽう食べることでストレスを解消しようとする場合もある。酸性食過剰で一般に陰性食過剰タイプに多い。

 力学的ひずみは、重心が上がっていて、上半身、とくに手、首、肩、顔に力が入っている。右短脚型が多い。ねじれ型もある。しかも便秘症で宿便が溜まっている。

 これらを治すには調息集中法(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」の【調息集中法】参照)を毎日朝夜30分以上、できれば1時間行う。これにより精神的ストレスを解消し、呼吸を副交感神経型にする。

 できるだけ少食にする。それには右肩が下がるように修正体操(『医者いらず体操法』105ページ)をする。酸性食、陰性食をやめて、アルカリ性陽性食にする。

 宿便排出健康食品”ヨーグルゲン”(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)を飲み、断食または半断食(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)を行う。

 力学的ひずみは修正体操(『医者いらず体操法』105ページ)で正す。とくに重心を下げ、足腰に力がこもり、上体の力が抜けるようにする。

 以上の方法で、休職していたノイローゼ患者を数人治した指導経験がある。

 Ⅹ 皮膚科系

「皮膚は内臓の鏡」とか「皮膚病は肝臓病の一つ」といわれるように、皮膚は内臓とくに肝臓、腎臓と関係している。

 体内にある毒が肝臓、腎臓で処理されて大便や小便となって体外に排出されているが、肝臓の機能が低下して処理しきれなかった毒素が皮膚から出てきたのが皮膚病である。したがって皮膚病は自然良能作用の結果であって、原因は主に肝臓の機能低下であるから、内臓を治せば自然に治る。

 また恥ずかしいと顔が赤くなり、恐怖のときは「身の毛もよだつ」というように、皮膚は精神的影響を敏感に受ける。怒りやイライラが肝臓を害するのだから、これは当然である。

 したがって調息集中法、アルカリ性食、ひずみ修正体操など前述の肝臓病の治し方と同じ方法をとればいいのである。

  1 アトピー性皮膚炎(原因)甘党、酸性食
            (治療)半断食、陽性アルカリ食

 乳児の頭のかさぶたから、小児、成人と年齢によって症状は異なる。成人では、皮膚がかたくなり、がさがさして、色がつく湿疹で、皮膚の脂肪が少なくなっている。夏はよいが冬にひどくなる。

 この病気の患者は精神的に非常に不安定で、それは会って話をしていればすぐわかるくらいである。

 みんな酸性食品が好きである。陰性タイプと陽性タイプがあるが、概して甘党果物党の陰性タイプが多い。

 また、肝臓病と同様に右側近の縮んだタイプが多い。足腰は弱く、腹圧が低い。

 アトピー性皮膚炎は内臓で処理しきれない毒素が体表に出てきたものだから、患者は毒素を体にいっぱい溜めているわけだ。

 だから毒抜きが前提条件である。つまり、宿便排出健康食品”ヨーグルゲン”(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)を飲み、重症あるいは即効を望むなら断食または半断食(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)を行う。昔から断食で治らない皮膚病はなかった。

 調息集中法(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」の【調息集中法】参照)で気体性毒素を排出し、精神の安定を得て、副交感神経型にする。

 食生活は、少食、アルカリ性食にして、陰陽のバランスをとる。酸性食は徹底的にやめる。補助健康食品”ハイレーベン”(第3章「ゆがみを正せば慢性病は治せる」「Ⅰ 消化器系」「②肝臓病「肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照)の同等品と森林エキス”バルト”(第3章の「Ⅴ 耳鼻系」の「②アレルギー性鼻炎」参照)でアトピー性皮膚炎を治した人もいる。

 力学的ひずみは修正体操(『医者いらず体操法』105ページ)で正す。さらに内臓強化体操を行う。その他肝臓病の治し方、腎臓病の治し方を参照されたい。

  2 その他の皮膚病

 ①白ナマズ:肝臓の機能低下が原因。断食に次ぐ玄米・生菜食で治る。肝臓病の治し方と同じ。

 ②水虫:過食、酸性食、動物性蛋白質過剰、力学的ひずみが原因。少食、アルカリ性食、菜食、ひずみ修正体操がポイント。

 京大医学部名誉教授、北野病院院長、長石忠三医博は、自身の長年の水虫を次の酢療法で5~6日間で治した。つまり食酢と温湯を半々に混ぜて容器に入れ43度くらいの温度に保持して30分つけるだけ。

 もう一つの例では、水虫患部を湯でよく洗い、乾かしてからヘリクロゲン(葉緑素)の濃厚水溶液を患部に薄く塗り、そのあと粉末酵素を上からはたくように振りかける。これで一週間で水虫を治した人もある。

 ③ニキビ:これは青春のシンボルではなく、腸と肝臓が悪いのが原因。とくに便秘や宿便による場合が多い。宿便排出健康食品”ヨーグルゲン”(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)などで治った人は多い。重症は半断食(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)をすること。

 ④若ハゲ:動物性蛋白質とくに肉類過剰。

 ⑤ソバカス:白砂糖の毒

 ⑥シミ:動物性食品の毒

 ⑦イボ:陰性な蛋白の毒。玄米、ハト麦で治る。

 ⑧ホクロ:動物性の陽性の毒。力学的ひずみによりうっ血したところにできやすい。

 Ⅺ その他
  1 肥満症 (原因)骨盤・肋骨拡張ひずみ、陰性体質
        (治療)骨盤・肋骨閉め、陽性食

 以上に肥満している人は自律神経とホルモンの働きがアンバランスになっている。その原因を大別すると、①病気、②異常食癖、③運動不足、④排泄不完全などである。

 したがって、単一な方法、たとえば食事だけで痩せられるわけがない。

 肥満には次の三つのタイプがある。①水ぶくれ、②脂ぶくれ、③糞ぶくれ、である。

 水ぶくれは陰性の飲食物の過剰摂取、脂ぶくれは動物脂肪の過剰摂取、糞ぶくれは便秘症または宿便によるが、共通している点は、みんな骨盤が開きっぱなしであることだ。

 食物の種類では、陰性、酸性の食物は、筋肉や内臓をゆるめて拡げる物が多く、体を冷やすものが多いので、新陳代謝がにぶくなり、中性脂肪や老廃物を体内に溜めやすくなる。とくに白砂糖、白米、白パン、果物などの陰性食のとり過ぎは、肥満の大きな原因になる。

 宿便排出健康食品”ヨーグルゲン”(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)などで古便、宿便を排出しただけで痩せた人は非常に多い。即効を望むなら、断食または半断食(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)をする。

 復食しても玄米、根菜、海藻、豆類、緑葉菜などの陽性食にし、同時に骨盤、肋骨を閉めることがポイントである。それには肥満を治す体操を実行すること。この体操をしっかりやって体を締めないと再び肥満になる。

 私の健康教室では、真面目に実行した人はみんな服を作り直さねばならないほどスマートになり、オジン・オバンも若者のようにさっそうと歩いている。

 肥満の原因にはいろいろあるが、共通している力学的特徴は、肋骨、腸骨我、拡がっていて、閉じる力が弱く、筋肉の収縮力が弱いことである。

  2 老人ボケ (原因)脳軟化、カルシウム不足
         (治療)アルカリ食、レシチン、グルトール(現在ではヨーグルゲンです)

 認知症老人は大都市圏では65歳以上の4~5%、全国では50万人に達する。いまや重大な慢性病の一つとなった(当時)。

 認知症には脳の血管性障害(脳軟化)と脳自体の老化(アルツハイマー型)が二大原因で、そのほか使わないために機能しなくなる廃用症候群、頭を打って出血した血液が固まったために起こる硬膜下血腫などや原因がはっきりしないものなど、種々の認知症がある。

 日本では認知症老人中脳軟化型が6割、アルツハイマー型が2割、その他の原因が2割。欧米では脳軟化型が2割、アルツハイマー型が7割、その他が1割となっている(当時)。

 年をとると誰でも忘れっぽくなるが、昔のことはハッキリ覚えているのに、

昨日のことが思い出せないといった程度の物忘れは、40代後半からの老化現象で認知症のうちに入らない。

 意味もなく外をうろついたり、食事をしたばかりなのにそれを忘れて何回も食事を要求したり、自分の妻や子供の名前も忘れてしまう、というようなのが典型的な認知症である。

 血管性の認知症は障害の起こった部分の機能は低下するが脳全体がやられるわけではないので、人柄など変わることはなくある日突然起こる。ところがアルツハイマー型は脳全体がやられてしまうので慢性的に進行し、最近ちょっと物忘れが多くなり、だらしがなくなったかなというときまで気がつかないことが多い。

 認知症の記憶喪失は社会生活が成り立たなくなるところまで記憶が失われ、知能が低下し、人格まで変わってしまうところに問題がある。

 アルツハイマー型の症状は三段階に分けられる。初期の段階では、人格の変化と記憶障害が起こる。中期になると、数分前のことも忘れるなど記憶障害がさらに進行するとともに、正しい時・所・人の識別ができなくなったり、作話症状が出てくる。徘徊・出歩きをするようになる。後期になるとすべての症状がさらに進行し、失禁や食事をとったり排泄したりすることなどの最小限の機能まで失われてしまう。

 血管性の方は脳の神経細胞に栄養や酸素を送る血管が動脈硬化を起こして詰まりやすくなる脳梗塞や血管が破れて出血する脳出血が直接原因で、その部分の機能が低下するために起こる脳軟化症である。

 アルツハイマー型は神経細胞内でつくられる神経性蛋白質が何らかのはずみで変性を起こし、本来の役目をしなくなるアルツハイマー神経原繊維変化と、脳全体に黒っぽい斑点ができ、神経細胞が急激に減少し、萎縮してしまう老人斑という二つの現象が同時に進行することによって引き起こされる、と言われてきた。

 特殊な装置で認知症老人の脳内の血流量を測ってみると、健康な老人に比べて脳軟化型は40パーセント以上、アルツハイマー型でも30パーセント近く、血液の流れが悪くなっていた、というデータがある。

 脳軟化型は血管の先が詰まり脳細胞がやられてボケる。つまり電力が落ちてコンピュータが動かなくなったようなものである。

 これに対してアルツハイマー型はコンピュータのICが先にやられ、エネルギーがいらなくなったために血流が低下するもので、二次的なものといえる。

 大脳の頭頂葉は知覚に、後頭葉は視覚に、側頭葉は聴覚と情緒に関係し、前頭葉には運動を指令する中枢がある。アルツハイマー認知症では、まず頭頂葉から後頭葉にかけて異常が現れ、そこの代謝が正常の半分に落ち、その後前頭葉が侵される。

 脳軟化型認知症は、障害を受けた場所に異常が出るために、患者によって異なったパターンを示す。

 東京都老人総合研究所、松崎俊久氏によれば、「明治生まれの女性たちは常に家に閉じこもり、非社会的な生活を生涯にわたって送ってきた。その結果、老後の精神状態が非常に不活発になっている。そのため女性に認知症が多い。しかし水商売の女性は認知症になっていない。女性の社会進出は認知症防止に役立つだろう。男性でも社会活動をやめて盆栽いじりをし始めると要注意である。また信心の世界に入った人の中にも認知症が多い」ということである。

 血管性の認知症動脈硬化であり、脳梗塞(脳軟化)で脳の血管が詰まって、そこから先へ血液が通わなくなるのだから、血液が汚れ、流れの悪くなる酸性食品の摂取過多、過食、陰陽のアンバランスが必ずある。つまり動脈硬化、高血圧、糖尿病などの食事がここに原因している。

 アルツハイマー型の認知症については、和歌山県医大、八瀬善郎教授らの研究によって、アルミニウム過多、かつカルシウム不足が一因となっていることが明らかになってきた。

 アルツハイマー型の認知症患者の脳組織には二本の糸がロープ状により合わさった形の物質が脳のあちこちに見られる(健康な老人では側頭部に少しあるだけ)。これはアルツハイマー神経原繊維変化とよばれるが、これがアルミニウム沈着と関係している。

 死後の分析から脳1グラム当たりのアルミニウム量はアルツハイマー認知症患者が33.5ミリグラム、その他の病気の老人が18.8ミリグラムで、認知症患者の脳には対照群の1.78倍もアルミニウムが沈着していた。

 他方腎不全で人工透析している人の”透析ボケ”は、透析によって骨が弱るのを保護するために服用するアルミニウム剤が脳に沈着するためと考えられている。

 脳には”血液脳関門”という関所があって、有害な物質が脳に入り込むのを阻止する仕組みになっている。

 アルミニウムがどうしてこの関門をくぐり抜けるのか。八瀬教授によると、私たちの日常のカルシウム摂取量が少ないと血中濃度が下がる。これを政治上に保つために、体は骨からカルシウムを溶かし出してくるが、このとき働くのが副甲状腺ホルモン(パラソルモンという)である。ところがこのホルモンは同時に脳細胞の膜の透過性を高める。それによって有害なアルミニウムでも脳内に入ってしまうからである。

 つまり、カルシウムの泥棒である酸性食品の過食と、日常の食事にカルシウム豊富な海藻、小魚、貝、根菜・葉菜が不足し、そのうえ、アルミ鍋が使われ、鉄鍋を使わなくなったせいであろう。

 また、老人の運動不足は、血行不良、うっ血を起こす。これも一つの大きな原因となっている。

 東京大学医学部附属病院分院神経科中村豊氏は「脳の循環を活発にしたり、よい環境をつくってあげることによって進行を少し遅らせることができるかも知れない。自信や希望を失わせたり、孤立させるような環境は絶対禁物。また仲間をつくること。人間は生涯成長していくという考え方が必要。老年になるといろいろな機能は衰えていくが、精神的・社会的な発達は続いている」という。

 できれば老人にもこの世になくてはならない存在としての責任ある役割分担をさせた方がよいわけだ。「年寄りはこき使え!」といわれるのもそのためである。

 調息集中法(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」の【調息集中法】参照)で脳に酸素を十分供給し、自律神経のバランスをとることは非常に有効であろう。

 また食生活として、白砂糖、白米、白パン、肉などの酸性食、陰性食をやめて、アルカリ性食、陽性食の少食にする。玄米が食べられなければ、ミキサーにかけたり、そばなどにすればよい。そしてとくに海藻、小魚、貝、根菜などのカルシウム豊富な副食にし、アルミ鍋をやめて鉄鍋で料理する。

 運動はできる範囲で体を動かすほうがよい。とくに脳は足と関係しているので、できるだけ歩きたいものだ。

 アルツハイマー認知症を攻略する武器はアセチルコリンという神経伝達物質である。認知症患者の脳ではアセチルコリンの働きが悪いことが分かってきた。

 アセチルコリンシナプスの発信側でつくられ、受信側の突起や神経細胞にとびこんで情報を伝えるのだが、認知症老人の脳では受信側は正しく働いているのに発信側に異常が生じ、アセチルコリンの生成能力が低下し、情報がうまく伝達されないのである。

 それも側頭葉や海馬(中央の深い部分にある)など記憶に関係のあるところでとくに低下している。

 このアセチルコリンを増やすのにもっともよいのはレシチンである。レシチンはリン脂質で、分解されると二分子の脂肪酸と、コリン・グリセリン・リン酸を各一分子生ずるが、コリンがアセチルコリンの原料となる。

 京都大学医学部、中村重信助教授の実験では、ラットの餌にレシチンを混ぜて1週間食べさせたところ、アセチルコリンが一挙に3倍近くにはね上がり、認知症に関係しているγ(ガンマ)・アミノ酪酸ドーパミン認知症患者では正常の半分近くに減少)も1.2~1.8倍に増加したという。

 アメリカの学者のデータでも、レシチンの服用で認知症老人が40パーセント以上よくなったという。

 なおレシチンは食物では大豆や卵黄に多い。薬剤として健康食品店や薬局でも売っている。

 また先に述べた黒斑は過酸化脂質によるリホフスチンだからビタミンEが有効である。したがって認知症の薬はカルシウム、レシチン、ビタミンEということになる。

 もちろん宿便排出健康食品”ヨーグルゲン”(第2章の中の「慢性病の一大原因は毒の蓄積」参照)など、補助健康食品”ハイレーベン”(第3章「ゆがみを正せば慢性病は治せる」「Ⅰ 消化器系」「②肝臓病「肝臓病の人は大食いで体の右側が縮んでいる」参照)または同等品は必須条件である。